2011年06月13日

カラマーゾフの兄弟 Братья Карамазовы (テレビドラマ)



カラマーゾフの兄弟」(Братья Карамазовы) は2008年のロシア制作のテレビドラマ。527分。原作はドストエフスキー最後の未完の大作です。

テーマが広く、描き出されているのは恋愛、父と子の関係、兄弟関係などといった人間模様だけでなく、「父親殺し」の犯罪とそれを読み手に推理させるような部分ももちろん大きいのですが、真理、倫理観、道徳観などを含めた宗教観念を深く考察した作品です。学生時代に読んだのですが細かい部分は忘れてしまっており、このドラマを見ながらそろそろ読み返し時だな、と感じてしまいました。

ロシア国営テレビ制作のドラマ「白痴」や「罪と罰」などと比べると、監督や脚本など制作者によってその作品の雰囲気がかなり違って来る事が分かります。この「カラマーゾフの兄弟」TVドラマシリーズではストーリーの流れと人間関係、犯罪が起こるまでの過程とその裁判に重点が置かれていて、「大審問官」のシーンなどもさらりと作られています。作品の流れは丁寧に作り込まれていて、当時のロシアの町の情景なども盛り込まれており、「罪と罰」や「白痴」が主人公の心理や行動を丁寧に描き込んだ作品なら、この「カラマーゾフの兄弟」は作品の概要を客観的に描き出していて、より「テレビドラマ」として楽しめる様に作られています。

あらすじ
地主フョードル・カラマーゾフには二人の妻の間に3人の息子がいるのですが、ほぼ育児放棄をして自分の手元で育てていない上に、本人の金にガメつく激しやすい性格や、道化のような下品さも災いして息子達とも仲がいい訳ではありません。そして前妻の残した土地と遺産を巡り、長男ドーミトリーと対立しています。

三男アレクセイの使えている聖人ゾシマ長老がその仲裁に入るのですが、親と息子の間にある確執の根深さに気づいた長老はアレクセイを家族のもとへ向かわせます。父親の家へ向かったアレクセイは家の外でまずドミートリーに会うのですが、そこで彼と婚約者カテリーナの関係や、一目惚れした悪女グルーシェニカを巡っての父親との三角関係を聞かされます。カテリーナに渡す筈だった金をグルーシェニカと飲んで使い込んでしまったドーミトリーは、父親からなんとか自分の分の遺産を受け取ろうとしていて、アレクセイに父親に取り次ぐよう頼み込みます。

結局ドーミトリーは家の中に乗り込み、父親と殴り合いになります。そうして人前でも気にせずやり合う激情型のフョードルとドミートリーの対立は人々の知る所となるのですが、ある日、フョードルが何者かに殺害されているのが発見されます。。。


登場人物
父 フョードル・カラマーゾフ(セルゲイ・コルタコフ)女好きで、お金にガメつく、前妻には逃げられ、後妻には死なれている。グルーシェニカと一緒に金儲けをしたりしている。激情型で、道化師のように滑稽な一面がある。

長男 ドミートリー・カラマーゾフ(セルゲイ・ゴルブチェンコ)前妻との息子で放蕩生活をしている退役将校。直情型で、アホな行動をするけど、女性に対しては以外に純粋な部分があり、ひとめ惚れしたグルーシェニカと母親からの遺産を巡って父親と対立。

次男 イワン・カラマーゾフ(アナトーリー・ペリィ)後妻との息子で、兄弟の中で一番知的。無神論者。兄の婚約者カテリーナが好き。

三男 アレクセイ・カラマーゾフ(アレクサンドル・ゴルベフ)後妻との息子で、ゾシマ長老に仕える修道僧。兄弟の中で一番純粋で真面目な存在とされる。

非摘出子 スメルジャコフ(パーヴェル・テレヴャンコ)フョードルとホームレスの女との間の私生児で、使用人の息子として育てられ、カラマーゾフ家の使用人になる。てんかんの発作持ち。

グルーシェニカ(エレナ・リチャードワ)恋人に捨てられた過去がありスレてしまう。老商人と暮らしていたりして悪女と周りからみなされているが、その美貌でフョードルとドミートリーが夢中になる。愛する男には忠実。

カテリーナ (ヴィクトリヤ・イサコワ)ドミートリイの婚約者で、父親の横領したお金を返金するのにドミトリーから借金をする。プライドが高いお嬢様。

グリゴーリイ カラマーゾフ家の使用人で、育児放棄されていた息子達の面倒を看る。スメルジャコフを自分の息子として育てる。

ゾシマ長老 聖人。

リーザ 足の不自由な女の子。アレクセイと両思いになるが、後にイワンの悪魔的な魅力に惹かれる。

脚色によってそのストーリーのイメージはとても変わって来ますが、このドラマの始めの少年期のちょっと軽快な音楽に乗せて描かれたシーンはとっても「カラマーゾフの兄弟」のイメージから遠かったのでちょっとびっくりしました。でも、少年時代から重い人生がそこにある訳ではないので、とても妥当な演出なのかもしれません。そして印象に残ったのが、投獄されたドミートリイの肩に落ちて来る白い羽、悪魔との対話シーンのイワンの枕元に何気なく落ちている黒い羽、制作者の意図が何気なくビジュアル的に現されています。

ストーリー展開はとっても「カラマーゾフの兄弟」で、所々で道徳観や宗教的な問いかけはあるのですが、宗教的な考察が押さえて描かれている為、複数に絡んだ「三角関係」や、父親殺しを巡る「犯罪推理」と言った部分が目立っていて、こうして見ると現代のドラマも顔負けなドロドロのお家騒動劇になるのだな、と思いました。ストーリーには忠実に描かれているので、この作品を読んだ事の無い方には分かりやすい入門ドラマになると思います。

カラマーゾフの兄弟 ドストエフスキー原作 [DVD] / セルゲイ・コルタコフ, セルゲイ・ゴ...
カラマーゾフの兄弟 ドストエフスキー原作 [DVD] / セルゲイ・コルタコフ, セルゲイ・ゴロブチェンコ, アナトーリー・ベリィ, アレクサンドル・ゴルベフ (出演); ユーリー・モロズ (監督)

カラマーゾフの兄弟〈上〉 (新潮文庫) [文庫] / ドストエフスキー (著); 原 卓也 (翻訳); 新潮社 (刊)カラマーゾフの兄弟〈中〉 (新潮文庫) [文庫] / ドストエフスキー (著); 原 卓也 (翻訳); 新潮社 (刊)カラマーゾフの兄弟〈下〉 (新潮文庫) [文庫] / ドストエフスキー (著); 原 卓也 (翻訳); 新潮社 (刊)
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2011年06月08日

罪と罰 Преступление и наказание (ドラマ)



罪と罰」(Преступление и наказание)は2007年ロシア制作のドラマ。1866年に発表されたフョードル・ドストエフスキーの傑作「罪と罰」を映像化したロシアのドラマ。413分。

「罪と罰」はドストエフスキーの後期五大長編作品の中でも一番有名な作品ですね。私が学生の頃に初めて読んだドストエフスキー作品が「罪と罰」で、確か推薦図書で指定されていたのであの分厚さに恐怖しながらも読み始め、辞められない止まらない状態で一気に読んだ本の一つです。ドストエフスキーの鋭い人物描写で描き出された主人公ラスコーリニコフの青さが、当時14、5歳の感性には直に入って来ました。

文豪ドストエフスキーが描き出す青年期にありがちな、たいした根拠の無い自尊心の強さや思い込みの激しさ、自分は周りのバカ共とは違うんだという極度のうぬぼれなど、時代を超えて普遍的なそのちょっと痛い青年病とでも言うようなものが描き出されています。どんな時代にもこういう思考をする頭でっかちな青年はいるのね、と改めて思わされてしまいます。

白痴」が上流階級のお話なら、「罪と罰」は食べるのにも困っている貧困層のお話です。当時のロシアの貧窮する市民達が、このドラマではかなり克明に描かれています。

あらすじ
首都サンクトペテルブルクの大学に通っていたラスコーリニコフは、母親からの仕送りが途絶え学業を続けられなくなり、家賃も払わずに部屋に引きこもり貧乏生活をしています。食べるのにも困り、父親のかたみの時計を持って、高利貸しのがめつい老婆アリョーナのアパートにやってきます。ラスコーリニコフにはある計画があり、今回の訪問はお金を手に入れるだけでなく、老婆のアパートを入念に観察する為でもあります。既にリングを質入れしており、その利息分まで差し引かれたなけなしの金額をもらい、アパートを後にします。

どういう風に計画を実行するか考えながら、ラスコーリニコフは近くの食堂に立ち寄ります。低所得層向けの、ハエの飛び交う暗い食堂で元役人でアル中のマルメラードフに出会い、彼の身の上話を聞きます。アルコールで身を持ち崩したマルメラードフは、自分の所為で体を売り家計を支える娘、ソーニャの話をラスコーリニコフに聞かせます。家のお金を持ち出して飲みつぶしてしまったマルメラードフは妻を恐れ家に帰らずにいたのですが、酔いつぶれた彼を自宅へ送り、その貧困した一家の様子を見たラスコーリニコフは、質屋で手に入れたお金を少しマルメラードフのアパートに置いてそこを去ります。

後日、再び質草を持ち計画を実行する為に再度アパートを訪れるラスコーリニコフは、隠し持って来た斧で老婆アリョーナだけでなく、そこに居合わせてしまった彼女の妹リザヴェータも殺害してしまいます。。。

例のごとく登場人物の多いドストエフスキー作品なので、主要な登場人物の紹介。

ラスコーリニコフ (ウラジーミル・コシェヴォイ)優秀で母親と妹の期待を背負い、首都サンクトペテルブルクの大学に通うが、仕送りが滞り学業が続けられなくなる。働くでもなく引きこもり、極貧生活に陥る。ハンサムで、自尊心が異常に強く、独自の論理を展開して犯罪を起こす。

ソーニャ (ポーリーナ・フィロネンコ )マルメラードフの娘で、父の後妻と3人の連れ子達の為に売春婦に身をやつす程、純粋で気だての良い娘。教養は無いがとても信仰心が厚く、後のラスコーリニコフの魂の拠り所的存在。

ポルフィーリー (アンドレイ・パニン)予審判事。ラスコーリニコフをジワジワと心理的に追いつめる。

ドゥーニャ (カテリーナ・ヴァシリエワ)ラスコーリニコフの妹。芯が強くて美しく、兄の為に金のあるルージンと婚約する。

ラズミーヒン (セルゲイ・ペレグドフ)ラスコーリニコフの友人。お人好しで、人付き合いの悪いラスコーリニコフの世話を色々と焼く。ドゥーニャが好き。

ルージン ドゥーニャの婚約者の弁護士。卑劣でケチな男。

マルメラードフ 元役人で、アル中。ソーニャの父。家にある金を持ち出しては飲むのに使ってしまい、家族が困窮する。

スヴィドリガイロフ ドゥーニャを家庭教師として雇っていた家の主人で、ドゥーニャに恋心を寄せる。

ラスコーリニコフは完全犯罪を犯せる程のタマは持っていないのですが、極度の自信過剰から"非凡である筈の自分を試す行為"として老婆殺害を計画します。「ガメツい悪徳金貸しばばあがお金を溜め込んでいるよりも、そのお金を必要とする人が有意義に使った方が良い」と脳内で殺人を正当化します。大量虐殺者だけど英雄扱いのナポレオンなどを例にあげ、自分がその一線を超えられる筈の非凡な存在である事、その自己に対する過剰な思い上がりは観ている側が恥ずかしくなる程です。そしてその怯えてる癖に何処までも思い上がっている様にかなりイライラさせられます。

ウラジーミル・コシェヴォイ演じるラスコーリニコフはかなり原作に近いイメージで、その神経質そうで困った迷える子羊のような顔が一瞬の内に自尊心たっぷりの鼻持ちならない表情をしてみせたり、焦燥してるくせに相手に強く出てみたり、ボロボロのホームレスみたいな格好をしていても心は貴族じゃないけど、とにかく扱いにくいラスコーリニコフの青さと痛さをとても上手に表現しています。

ラスコーリニコフと対象的なその友達ラズミーヒン、発音は厳密にはゥラズミ〜ヒュンみたいで、このいかにもロシア語的な音がとても気に入ってしまいました。ラスコーリニコフみたいな扱いづらい人の世話をする、陽気で人のいい青年です。彼の存在がラスコーリニコフが滞納して居座るアパートでの扱いを向上させます。

ソーニャについてですが、どこかで聞きかじった、主婦「体は売らないけど魂は売る」娼婦「体は売るけど魂は売らない」というやり取りを思い出します。唯一そんな娼婦がいるのならソーニャのような娼婦で、どんなに男達に体を汚されても魂は決して汚れない存在、どうしょうもないラスコーリニコフに救いの手を差し伸べる存在です。ラスコーリニコフが妹ドゥーニャに自分の罪を告白するかどうか考えるシーンで、こいつには無理だと判断するシーンがありますが、ソーニャは罪を犯した彼を受け止められる強い存在として描かれています。頭でっかちなラスコーリニコフに対して、学は無いけど実のある存在です。

当時のロシアの貧困層の様子の描かれ方がかなり凄くて、その不潔な暮らしぶり、ハエの飛び回る部屋(ハエ叩き無いんでしょうかね)小汚い部屋、油まみれの髪の毛、身につまされる様な状態が生々しく描き出されています。そして描かれている人物達は、ちょい役の俳優さん達までいい味を出していて、「おそロシア」の素敵さを再確認してしまいます。アクが強く、個性的で、とっても濃厚な登場人物達が小気味よくて、ロシアものドラマや映画をもっと観てみたくなりました。

原作を読むのを躊躇っていた方、原作を既に読んだ方でも楽しめるドラマ作品です。「白痴」といい、ロシアドラマのクオリティの高さに驚かされます。是非観て下さい。

罪と罰 ドストエフスキー原作 [DVD] / ウラジーミル・コシェヴォイ/ポーリーナ・フィロネ...
罪と罰 ドストエフスキー原作 [DVD] / ウラジーミル・コシェヴォイ/ポーリーナ・フィロネンコ/エレナ・ヤコヴレワ/アンドレイ・パニン (出演); ディミトリー・スヴェトザロフ (監督)

罪と罰 (上巻) (新潮文庫) [文庫] / ドストエフスキー (著); 工藤 精一郎 (翻訳); 新潮社 (刊)罪と罰 (下巻) (新潮文庫) [文庫] / ドストエフスキー (著); 工藤 精一郎 (翻訳); 新潮社 (刊)
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2011年05月17日

プロファイラー/犯罪心理分析官 Profiler (TVシリーズ)



プロファイラー/犯罪心理分析官」(profiler)はNBCで1996年から2000年まで放送されたアメリカのドラマ。4シーズン83エピソード。

犯罪心理分析官(プロファイラー)という職業をこのドラマで初めて知ったのですが、事件現場の物的証拠や、犯人の行動、犯罪の性質などから犯人像を描き出す仕事をする捜査官の事です。犯人の心理などを主人公のDr.サマンサ "サム" ウォータズが暴いて行くさまが面白くて観ていたドラマです。

ジョージア州アトランタのFBIに犯罪心理分析官(プロファイラー)として協力し、凶悪犯罪を捜査するサムを巡るドラマです。

あらすじ
5人の裕福な女性達が次々に殺害されて行く事件が起こる。3年前に仕事を辞めたプロファイラー、Dr.サマンサ "サム" ウォータズのもとへ、古い友人で仕事上のメンターでもあったFBI捜査官ベイリー・マローン(ロバート・ダビ)が訪れ、協力を依頼する。

優秀なプロファイラーであったサムは、知られている限り15人を次々に違う手口で殺害した犯人が同一人物であるという事を突き止め、そのシリアルキラー"ジャック・オブ・オール・トレード"に認められてしまい、付きまとわれて仕事を辞めたのだが、ジャックにストーキングされ続け夫を殺されたという過去があった。。。

登場人物
サマンサ "サム" ウォータズ(アリー・ウォーカー) 優秀なプロファイラーで、夫をシリアルキラー"ジャック"に殺され、シングルマザーとして親友エンジェルの協力のもとひとり娘クローイーを育てている。

ベイリー・マローン(ロバート・ダビ) FBI捜査官。サムと親しく、彼女をいつも気にかけている。凶悪犯罪捜査のエリート捜査官達を率いるチームリーダー。

ジョン・グラント(ジュリアン・マクマホン)FBI捜査官。熱血捜査官。

グレイス・アルバレズ(ロマ・マフィア)司法解剖を行う医学士。

ジャック 謎のシリアルキラー。頭がよく、捜査官達を出し抜いて来たが、自分の存在を突き止めたサムに執拗に執着する。

一話完結ドラマのスタイルで、サムは凶悪殺人事件を次々に解決して行くのですが、そのストーリーと平行してなかなか捕まらないジャックの捜査が続き、徐々にジャックを追いつめて行きます。

神経質で敏感そうな雰囲気で、いつも神経を張りつめてそうなサムのキャラクターをアリー・ウォーカーが演じている訳ですが、とあるトークショーで彼女を観て、このサムのイメージとかなり違うのにびっくりしました。あの真面目そうで繊細そうな雰囲気が「ぐわははは」みたいな豪快な笑い方で吹き飛んでしまいました。

ちょっとトミー・リー・ジョーンズを思わせる、渋くて頼りがいのあるマローンが目当てで私はこのドラマを楽しみにしていたのですが、この手の包容力のある男性が仕事上のパートナーっていうシチュエーションがいいですね。

日本でも放送されたのに何故か輸入版DVDオンリー。
Profiler: Season 1-4 [DVD] [Import]
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2011年05月15日

デッド・ライク・ミー Dead Like Me(TVドラマ)


ちょっと笑えるオープニングです。実際にドラマに登場する死神達は、この黒いローブを着ている訳ではありません。

デッド・ライク・ミー」(Dead Like Me)は2003年〜2004年に放送されたアメリカ/カナダ制作のコメディ・ドラマ。グリム・リーパーと呼ばれる死神達のお話です。面白いドラマなのですが、残念ながら2シーズンで終わってしまいました。(後に映画Dead Like Me: Life After Death 邦題:デッド・ライク・ミー 死神の新たな仕事 も作られています。)

アンデッド(死んではいない)と呼ばれるグリム・リーパー(死神)達が登場し、不慮の死を遂げる人達の魂を事故が起こる前に解放して、少しでも衝撃を和らげてあげるのが死神達の役割です。死後の世界で仕事をし続ける死神となった登場人物達の活動と、死後の世界での人生(?)を描いています。

あらすじ
ワシントン州シアトルに住む18歳のジョージア "ジョージ” ラス(エレン・ムス)は入学した大学を中退し、派遣会社に勤める事になる。初出社の日、お昼休みに外出したジョージは、ロシアの宇宙ステーションミールから落ちて来た便座に当たり、即死してしまう。

死んだハズのジョージは、ルーブ(マンディ・パティンキン)に迎えられ、彼の率いる「外的死因」部門の死神チームに入る事になる。チームには薬中で若くして自分の頭にドリルで穴をあけて死亡した、ちょっとおかしいマンソン(カラム・ブルー)ダンサーでレッグ・ウォーマーを発明したのだけど嫉妬したルームメイトに殺害された、ちょっとタフな姉御肌のロキシー(ジャスミン・ガイ)婚約者と旅行中に崖から水中に飛び込み、打ち所が悪くて死亡したベティ(ジャスミン・ガイ )。(ベティは後に死神を卒業し、元女優で、セットで焼死したデイジーが加わります)4人の死神達と交流しながらジョージアの死後の仕事が始まります。。。

ジョージの死亡シーン


ドラマはジョージの死神としての死後の人生と、ジョージの死後の家族達の話が平行して進んで行きます。死神として新しい人生をスタートさせたジョージは元々の姿と、生きている人達の目に見える姿が違い、家族の元を何度も気になって訪れるジョージアに家族達は気づきません。(後に妹が、彼女の存在に気づきます。)そして生きていた頃は人生をちょっと舐めていたジョージが、死後の世界で成長していきます。

死神にはいくつかルールがあり、魂を苦しむ事無くあの世に送る作業はいつだか分からない『その日』がくるまで卒業出来ず、例えばルーブは1927年に死亡した事になっているので80年以上死後の世界で死神をしている事になります。また、リーダーであるルーブがその日亡くなる人の名前と場所を書いたポストイットを、毎日各死神達に配り仕事が与えられ、死亡する前にその人の体に触れる事で魂を解放してあげるのですが、死神がサボると魂は事故の衝撃をもろに喰らい、苦しんで死ぬ事になります。そして、死神達は死後でもお腹が減る=お金を稼がないといけないので、各自仕事を持つ事になり、生きている人間達の間で働く事になります。

死神たちのその事情が面白く、そして彼らが死後に何かを学んでいたりするのもユニークなストーリーだと思います。死神達のストーリーだけでなく、その日に亡くなる人達の人生模様なんかも織り込まれていて、ドラマとしてはいくらでもエピソードが作れる展開なのですが、何故か2シーズンで終わってしまったコメディ・ドラマです。時期的(911テロの後)に死を題材にするのが悪かったのではないか、という意見が一番有力なようですが、面白いドラマだったので残念です。

主人公ジョージを演じているエレン・ムスはとても個性的で喋り方に特徴があり、このちょっと変わったキャラの女の子ジョージにピッタリでした。

輸入版オンリー
Dead Like Me: Complete Series [DVD] [Import] / Ellen Muth, Callum Blue, Jasmine Guy, Mandy Patinkin, Cynthia Stevenson (出演); Brad Turner, David Grossman, David Straiton, Helen Shaver, James Marshall (監督)Dead Like Me: The Complete First Season [DVD] [Import] / Ellen Muth, Laura Harris, Callum Blue, Jasmine Guy, Cynthia Stevenson (出演); David Grossman, David Straiton, Helen Shaver, James Marshall, James Whitmore Jr. (監督)Theme from "Dead Like Me" By Stewart Copeland / BSX RecordsTV
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2011年05月03日

ある結婚の風景(ドラマ)SCENER UR ETT AKTENSKAP / SCENES FROM A MARRIAGE


残念ながらトレーラーが見つからなかったので、マリアンが妊娠を告白するシーンの映像です。

ある結婚の風景」(SCENER UR ETT AKTENSKAP / SCENES FROM A MARRIAGE)は1973年にスウェーデン国営放送で放映されたTVシリーズ。各50分6エピソード全299分。イングマール・ベルイマン監督作品。

結婚生活10年を迎える、ある夫婦を描いた作品です。スウェーデンというお国柄からなのか、ベルイマン監督自体の個人的な観点なのか、「家族」という部分にまったく逃げずに、徹底的に夫婦と言う二人の男女の関係、二人の人間を描き出した作品です。
ベルイマン監督自体が5度も結婚していたり、このドラマに主演しているリヴ・ウルマンとは長い事愛人関係にあった事も知られていますが、自らの経験が言わしめているような男女の違いやその複雑な関係性を、徹底的に細部に至るまで描き出しています。

あらすじ
結婚生活10年を迎える42歳で応用心理研究所の助教授ヨハン(エルランド・ヨセフソン)と離婚を主に扱う弁護士で35歳のマリアン(リヴ・ウルマン)が女性誌のインタビューを受けます。二人の娘達に恵まれ、良い仕事を共に持ち経済的不安は全くなく、お互いの両親や兄弟とも仲良くやっていて、見るからに幸せで理想的な夫婦の様に見える二人。マリアンは女性記者に「とっても幸せ」と答えます。

後日、ヨハンは女性記者が二人の仲ををちょっと歯が浮くくらい褒めたたえる記事を、友人夫婦を招いた夕食で読み上げます。ヨハンとマリアンとは違い、巧く行っていない友人夫婦は酒が入った所為もあり、暫くすると大喧嘩を初めてしまいます。

両親の元へ夕食に出かけたり、二人で劇を見に行ったり、夫婦の生活は続いて行くのですが、その仲で徐々に不協和音が見え隠れして行きます。。。

「会話の無い夫婦」とか「セックスレス夫婦」とか「別居婚」とか、現代日本でも色々な夫婦の不協和音が聞こえてきますが、この映画の中の二人は会話は異常なくらいにするし、夜の夫婦生活もある、お互いの両親との行事も仲良くこなし、もちろん愛情も持っている。その二人の間に横たわる小さいようで大きなすれ違いを、ベルイマン監督は二人の対話を通して細かく丁寧に浮き彫りにさせて行きます。

周りの登場人物達は最小限に抑え、子供達でさえ映画冒頭のインタビューシーンにちらっと現れるだけに留め、徹底的に二人の夫婦とその対話に絞り込んでストーリーを進は進みます。ヨハンが愛人を作り、家を出て行く事で二人の仲は決定的打撃を受けるのですが、そこから更にどんどん「何がいけなかったのか?」を掘り下げて行き、二人の本音の部分の会話が登場して、マリアンは自分という人間をもっと理解して行く様になります。

夫婦の関係なんてその二人にしか分からなくて、幸せに見える家族も誰かの犠牲の元に巧く回っている場合があるし、本音の部分は当事者、その個人にしか分からない。徹底的に個人を会話で描き出して行くその過程に凄みのある映画です。「子供がいるから」とか「浮気した方が悪い」とかそういう展開で流れるドラマが陳腐に見えてしまう程、徹底的に個人と個人の関わりとしての夫婦を描いています。そして家族の幸せの追求ではなく、あくまでも個人の幸せの追求が主眼になっています。

ドラマの中で二人がイプセンの「人形の家」(フェミニズムで有名な作品ですね)の劇を見に行き、ヨハンが「フェミニズムは古い」に始まり女性を批判をするシーンがあるのですが、そこら辺にちらりとヨハンのスタンスや、ヨハンが出て行った後強くなって行くマリアンに、「人形の家」に対するオマージュとまではいかなくても、監督自身の意図が見えますね。

結婚って何?と考えてしまった時に是非観て欲しい1本。

ある結婚の風景 オリジナル版 【HDマスター】 DVD / リヴ・ウルマン, エルランド・ヨセ...
ある結婚の風景 オリジナル版 【HDマスター】 Blu-Ray / リヴ・ウルマン, エルランド・ヨセフソン, ビビ・アンデショーン, ヤン・マルムシュー (出演); イングマール・ベルイマン (監督)ある結婚の風景 オリジナル版 【HDマスター】 DVD / リヴ・ウルマン, エルランド・ヨセフソン, ビビ・アンデショーン, ヤン・マルムシュー (出演); イングマール・ベルイマン (監督)

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2011年05月01日

白痴 Идиот/Idiot(ドラマ)ドストエフスキー原作



白痴」 (Идиот/Idiot)は2003年のロシアのテレビシリーズ。1868年に発表されたフョードル・ドストエフスキーの傑作「白痴」をロシア国営テレビが映像化した大河ドラマ。

「罪と罰」「白痴」「悪霊」「未成年」(私が読んだ本では「青年」と邦題がついていました)「カラマーゾフの兄弟」はドストエフスキーの後期五大長編作品と呼ばれていて、その昔、まだ学生だった頃に受験勉強そっちのけでハマった事がありました。食べてるときも読み止められず、読み出したらその晩は完徹してでも読んでしまう、そういう魔力を持った本です。

もちろんあの本の厚み、そして表紙の近寄りがたい表情のドストエフスキーの写真を見て最初は敬遠していたのですが、読み出すと止まらない、続きが気になって最後まで一気に読み切ってしまうようなとんでもない本です。そして、敬遠して読んでいなかった方に朗報です。ロシアでテレビシリーズ化され、かなりの完成度のドラマとなっています。510分という長さで、DVD5枚分あるのですが、その分丁寧に仕上げられていて、原作を読んだ方でも楽しめます。

ドストエフスキーの作品はその人物像のえぐり出しに魅力があるのですが、この「白痴」は恋愛を扱った作品で、強烈な個性を持ったユニークな登場人物たちがぶつかり合うのですが、各キャラクターにとても合った配役はもちろんの事、次々に起こる事件の展開とそこに関わる人物達の心理的情景描写なども、丁寧に仕上げられています。

もちろん文豪が書き出すからにはただの恋愛ドタバタ劇には終わらず、これでもか!と言うくらいに登場人物の人間性を細かく描写して行きます。そしてその登場人物達は、「極寒のロシアに住むからにはこれくらい情熱的でメラメラと燃えていないとだめなのね〜っ!?」と思わされてしまうくらい、熱くて濃いキャラクターを持っています。

タイトルの「白痴」ですが、日本語の白痴という言葉は身体的に知能が劣っている、という意味の強い言葉ですが、作中では余りに純粋で世間知らず、おまけに人が良くて空気の読めない主人公ムイシュキン公爵を「バカ」のニュアンスでそう呼んでいる感じです。英語訳はidiotで、これも「白痴」だけじゃなく、もっと軽い「バカ」の意でも使われたりします。ムイシュキン公爵が周りの人々に連呼される言葉なのですが、実際のムイシュキン公爵はかなり鋭い所もあります。

あらすじ
重度のてんかん症状を持ち、長年スイスで療養していたレフ・ニコラエヴィチ・ムイシュキン公爵(エフゲニー・ミローノフ)がロシアに帰ってきます。ペテルブルクへ向かう列車で、父の遺産が舞い込んで実家へ帰宅途中のパルヒョン・ロゴージン(ウラジミール・マシュコフ)と知り合い、彼が実家から逃げていた原因になったナスターシャ・フィリポヴナ(リディヤ・ヴェレツェワ)の話を聞きます。

援助してくれていたパヴリーシチェフが死去し、金銭的にも困ったムイシュキン公爵は、身寄りの無い公爵は遠縁にあたるエパンチン将軍夫人の元へ赴き、そこでエパンチン将軍と秘書のガーニャに出会うのですが、将軍はトーツキーの愛人ナスターシャ・フィリポヴナをガーニャと結婚させようとしています。ムイシュキン公爵はナスターシャ・フィリポヴナの写真を見て、その美しさと不幸そうな顔つきに魅入ってしまいます。

エパンチン将軍の娘のアグラーヤに密かに恋心を寄せているガーニャは返事に迷うのですが、入り込んで来る膨大なお金に目がくらみ、迷っているのですが、将軍の家族と食事を共にする許しが出たムイシュキン公爵に頼んでアグラーヤに手紙を渡してもらいます。。。

とても登場人物の多い作品なので、主要人物のまとめ

ムイシュキン公爵「白痴」 純粋で正直、とても善良で博愛主義的。人の顔つきからその人の特性を推理してみたり、かなり鋭い部分を持っているのだけど、今で言うところの「天然」「KY」「お人好し」と言った部分があり、余計な事を喋ったりして周囲を混乱させたり、善良さと博愛で他人を深く傷つけたりもする。誰からも愛されるのだけど、その善良さが卑屈だったり欺瞞の多い人の自尊心を傷つける。「道徳的で欠陥の無い人間を描きたかった」と言っているドストエフスキーの描き出したムイシュキン公爵は、それ故の毒も持ち合わせている訳です。
ムイシュキン公爵はてんかん持ちですが、ドストエフスキーもてんかん持ちです。そして、エパンチン家での食事の件で出て来る死刑囚の話は、自らが死刑囚だった事から来ています。

ナスターシャ・フィリポヴナ とても美しく、沢山の男達が寄ってくるのだけど、気位が高くてかなり激しい性格。トーツキーに若くして手を付けられ愛人にさせられるが、厄介払いに大金をつけてガーニャと結婚させられそうになる。愛人であった事を負い目に感じていて、自分が幸福になる事は許せないくらいに自分を責めている。

パルヒョン・ロゴージン 商人の息子。ナスターシャ・フィリポヴナに一目惚れして、激しい恋愛感情を彼女に持つ情熱の男。彼女に執着し、崇拝するが、粗野な荒くれ者でナスターシャ・フィリポヴナからは蔑まれてしまう。

アグラーヤ エパンチン将軍の娘。綺麗で利発。ムイシュキン公爵をからかいまくるのだけど、実はムイシュキン公爵に惹かれている。

ガーニャ エパンチン将軍の秘書。地位も無く、よくも悪くも普通な人なので、お金で虚栄心を満たそうとする。

エパンチン将軍 お金持ち。三姉妹の父。

リザヴェータ エパンチン将軍夫人 ムイシュキン公爵の遠縁。ムイシュキン公爵に「子供のような人だ」と表現されるくらい、純粋ではっきりした性格。情がある。

イヴォルギン将軍 ガーニャの父親。アル中で病的な嘘つき。

主演のエフゲニー・ミローノフは、「これぞムイシュキン公爵」と言いたくなるくらい、とても良い演技を見せてくれます。ロシア語なんてもちろん聞いていて分からないのですが、そのなんとも人の良さそうな声と喋り方、自分の喋りに乗って、周りが凍り付いていても空気を読まずに「暴走モード」の興奮状態で喋りまくる演技なんかも良いです。天然で空気が読めないムイシュキン公爵のあどけなさや、善良さ、その博愛主義が女を苦しめる事を全く理解出来ない能天気さ、そういう面も演じきっています。

炎の女ナスターシャ・フィリポヴナを演じるリディヤ・ヴェレツェワも、その美しさに凄みがある女優さんで、怒る姿の美しさに圧倒されます。適役です。

ロゴージンもかなりの適役で、ウラジミール・マシュコフが泥臭くて狂気に近い情熱を持ったロゴージンを演じています。彼が登場するときのその黒く渦巻くような雰囲気が、明るいムイシュキン公爵の雰囲気とは対象的です。

510分と長いドラマなのですが、続きが気になってあっという間に見終わってしまいます。今年これまでに見たDVDの中でも、今の所一番におすすめの作品です。
このゴールデンウィークにどうぞ。

白痴 ドストエフスキー原作 [DVD] / エフゲニー・ミローノフ, ウラジミール・マシュコフ, リディヤ・ヴェレツェワ (出演); ウラジミール・ボルトコ (監督)
白痴 ドストエフスキー原作 [DVD] / エフゲニー・ミローノフ, ウラジミール・マシュコフ...
白痴 (上巻) (新潮文庫) [文庫] / ドストエフスキー (著); 木村 浩 (翻訳); 新潮社 (刊)白痴 (下巻) (新潮文庫) [文庫] / ドストエフスキー (著); 木村 浩 (翻訳); 新潮社 (刊)
posted by 淀川あふるー at 19:47 | Comment(0) | TrackBack(0) | テレビドラマ/シットコム | このブログの読者になる | 更新情報をチェックする