2012年02月13日

テス Tess of the D'urbervilles(ドラマ)


英語版

テス」(Tess of the D'urbervilles)は2008年のイギリスドラマ。BBC製作。トーマス・ハーディ原作。

遠い昔、主人公のテスの年齢より若かった大昔に原作を読んで、「女の人生って何?」と考えさせられてしまった作品。「昔は良かった」なんて女に生まれてたらありえないな、と思ってしまうような、19世紀末のイギリスが舞台のお話です。

純粋で、真っ直ぐで、曲がった事が嫌いなテス。意思が強く、自尊心も強く持っていて嫌な事は嫌とはっきり言える彼女は、要領良く嘘をついたり女性特有の媚びを使う事が出来ない、男社会の中で生きるには無理があるような性格をしています。そしてそんな性格だからこそ、生まれながらの美しさでさえ仇になってしまい、男達に「これでもか!」とばかりに苦しめられていきます。

当時のヨーロッパ社会はもちろんキリスト教の影響が強く出ているので、処女信仰が女性に対してのみ強く存在します。キリスト教はローマ時代の性の乱れを抑える効果があった反面、そのダブルスタンダードな女性に対する抑圧が悲劇を生む事もあるのだ、という事がこの作品では描かれています。

あらすじ
19世紀末のイギリス、マーロット村。行商人ジャック・ダービフィールドは、自分が名高い家系ダーバヴィルの末裔だと聞きかじり、ダーバヴィル家へ17歳の長女のテス(ジェマ・アータートン)を送り込みます。父親の代わりに出た配達の途中、馬をダメにしてしまった事に負い目があるテスは、嫌々ながら屋敷へ向かいます。

ダーバヴィル家の長男アレック・ダーバヴィル(ハンス・マシソン)はテスをひと目で気に入り、彼女に鶏管理の仕事を与えます。徐々にアレックの好意に信頼を寄せ始めた矢先、ある晩テスは村の祭りの帰りに森の中でアレックにレイプされてしまいます。ダーバヴィル家を抜け出し実家に帰ったテスはアレックの子供を出産しますが、赤ん坊は間もなく死んでしまいます。

結婚もせずに出産をした彼女の噂は村中に広まっており、テスは逃げる様にマーロットから離れた村の農場で働き始め、そこに研修に来ていた神父の息子エンジェル・クレア(エディ・レッドメイン)と出会います。エンジェルとテスは徐々に惹かれ合い恋に落ちるのですが、『過去のある自分は幸せになるのは相応しくない』とテスは結婚の申し出を一度は断るのですが、結局受けます。

結婚式の前夜に『自分の過去をエンジェルに告白しよう』と手紙に書くのですが、その手紙が読まれていなかった事に気づき、新婚初夜にお互いに自分の過去を告白し合う事になります。。。

テスはとっても対象的な男二人に違った意味で苦しめられ、蹂躙されます。金持ちの放蕩息子アレックは行動的だけど道徳心が無い悪党で、テスの人生にストーカーのごとく出入りします。牧師の息子エンジェルは優しくて道徳的だけど頼りなく、あまり懐も広くなく、自分は女と遊んだ過去を告白するくせに、被害者であるテスの過去を違う目で見るダブルスタンダードを持っています。(19世紀と言う時代的にしょうがない部分なのでしょうかね?)

その二人にピッタリとあった俳優が選ばれていて、エンジェルを信頼しきって自分の過去を告白しようとするテスに、「いや、見るからに無理だから止めときなさい!!!」とドラマを見ながらハラハラさせられてしまいました。テスの正直さは仇となって、自分で自分の首を絞めてしまうような状況に陥ってしまいます。

これでもか!というくらいに男運の悪いテスは、アル中で働かない父親のお陰で、貧乏子沢山の家族を支える為にダーバヴィル家に送り込まれ、そこでレイプされた挙げ句に生まれた息子はすぐ死に、心から愛して信用した男にでさえ裏切られます。テスがもし計算高くて男達の建前と本音が理解できる女だったら、要領よく幸せな人生が送れたのかもしれない、と思ってしまいます。

女性が自分の心に正直に生きるのが難しかった時代のお話です。

テス [DVD] / ジェマ・アータートン, エディ・レッドメイン, ルース・ジョーンズ, ハ...
テス [DVD] / ジェマ・アータートン, エディ・レッドメイン, ルース・ジョーンズ, ハンス・マシソン, ジョディ・ウィッテカー (出演); デヴィッド・ブレア (監督)テス 上 (岩波文庫 赤 240-1) [文庫] / トマス・ハーディ (著); 井上 宗次, 石田 英二 (翻訳); 岩波書店 (刊)テス 下 (岩波文庫 赤 240-2) [文庫] / トマス・ハーディ (著); 井上 宗次, 石田 英二 (翻訳); 岩波書店 (刊)
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2012年01月22日

マンスフィールド・パーク Mansfield Park(ドラマ)


英語版

マンスフィールド・パーク」(Mansfield Park)は1983年のイギリスドラマ。BBC製作。ジェイン・オースティン原作。

ジェイン・オースティン原作ドラマの6作品目ですが、ここまで見て来てやはりジェイン・オースティンの女性の描き分け方に感心してしまいます。主人公のみでなく登場する女性達の性格や特徴が、とても繊細かつ現実味を持って描き分けられています。女性を同性の視点で良く観察していたのでしょうね。女流作家のなせる技でしょうか。

階級社会の中で理想とされる『レディ』に育て上げられて来たであろう各作品の主人公達も、気質や行動力、自尊心の持ち方や発言力の違いなどが全く違い、一辺倒の『女性像』には当てはまらない個性が、ジェイン・オースティンの持つ豊かな表現力で描き出されています。

「マンスフィールド・パーク」は、他の作品よりも階級社会が強く描き出されている作品です。貧しくて子沢山の家庭に生まれた娘ファニーが、伯母のバートラム一家の住むマンスフィールド・パークに引き取られます。「従兄弟達と同等だと思うな」ともう一人の伯母のノリス夫人に言い聞かされて育ったせいもあるのか、ファニーは他のジェイン・オースティンの作品の主人公と比べると控えめで真面目で、華のあるキャラクターではありません。でも健気に自分の立場を弁えて生きるファニーには、純粋さと芯の強さがあります。

あらすじ
9番目の子供が生まれて生活が困難になり、ファニーは母親の姉であるノリス夫人(アンナ・マッセイ )を介して、もう一人の伯母のいるバートラム家に引き取られます。サー・トーマス・バートラム(バーナード・ヘプトン )とその一家の住む屋敷「マンスフィールド・パーク」に住む事になったファニーは、初めは従姉妹やノリス夫人の意地悪でホームシックにかかるのですが、気だての良い従兄弟エドマンドに助けられて、一番仲の良い兄ウィリアムと手紙のやり取りをする事で、少し慰められます。

7年後、従兄弟達と同等の扱いではないけど、マンスフィールド・パークでの暮らしに馴染み、不自由無く暮らしているファニー(シルヴェストラ・ル・トゥーゼル)。長男でマンスフィールド・パークを受け継ぐ浪費家トムとは反対に堅実なエドマンド(ニコラス・ファレル)は聖職者になる予定で、長女のマライアは舞踏会でラシュワースに見初められ、求婚されます。

そんな中、牧師館にヘンリーとメアリーのクロフォード兄妹がやってきて、マンスフィールド・パークの人々の間にちょっとした波紋が広がります。。。

従兄弟達と差を付けられて暮らして来たファニー。でも、彼女の誠実で従順な性格はバートラム夫妻に受け入れられ、いつの間にか無くてはならない存在になります。厳格な中にも優しさのあるサー・トーマス・バートラムは時にはファニーを娘のように気にかけ、美しいけどちょっと変わったバートラム夫人は、ファニーにあれこれ身の回りの事を手伝ってもらったりしている中で、彼女がいないとやっていけないくらいに、娘よりもある意味近い存在として彼女の事を必要としています。

登場する女性陣でひと際目立つのがこのちょっと変わったバートラム夫人とノリス夫人の姉妹なのですが、いつもパグ犬を膝元にのせてぼんやり居眠りしているバートラム夫人と、何かと口うるさく、自分アピールの激しいノリス夫人。毒がありそうでないバートラム夫人と、毒がたっぷりのノリス夫人は対象的で、ノリス夫人がファニーに対して口にする意地悪な発言によって、彼女が格下として分け隔てられている事が際立ちます。

その階級差が際立って見えるのはファニーが里帰りするくだりです。彼女の親兄弟は狭い家に暮らし、素行も荒く、ファニーはちょっとカルチャーショックのような物を受けます。父親は粗暴な酒飲みで、散らかった家の中を大声で走り回る兄弟達とそこで少しイライラした母親。マンスフィールド・パークでの暮らしとは対象的な生活がそこにあります。ここでやはりマンスフィールド・パークで暮らせるファニーは恵まれていて、少しいじめられる事も含めてシンデレラストーリーなのだと言う事が分かります。

もう一つ目立つ対象的な女性像は生真面目なファニーと、自由な恋愛に生きてしまう従姉妹のマライアです。綺麗なマライアは結婚した後不倫に走ってしまうのですが、彼女の格下として育てられたファニーはガチガチに真面目で堅実に幸せな生活を掴みます。

ファニーはジェイン・オースティンの描くその他のカラフルなヒロイン達と比べるととても保守的で地味なキャラクターなのですが、何気に運がよく、自分らしさを貫いて幸せを勝ち取る強さも兼ね備えている女性なのだという事が分かりますね。

マンスフィールド・パーク ジェイン・オースティン原作 リマスター&豪華コレクターズデザインケー...
マンスフィールド・パーク ジェイン・オースティン原作 リマスター&豪華コレクターズデザインケース仕様 【日本語・英語字幕収録】 [DVD] / シルヴェストラ・ル・トゥゼル, ニコラス・ファレル (出演); デビッド・ジルズ (監督)ジェイン・オースティン Collectable DVD-BOX(「分別と多感」「高慢と偏見」「マンスフィールド・パーク」「エマ」「ノーサンガー・アベイ」「説きふせられて」+特典DISC) / ハティ・モラハン, チャリティー・ウェイクフィールド, コリン・ファース, ジェニファー・イーリー, シルヴェストラ・ル・トゥゼル (出演); ジョン・アレクサンダー, サイモン・ラングトン, デビッド・ジルズ, ジム・オハンロン, ジルズ・フォスター (監督)マンスフィールド・パーク (中公文庫) [文庫] / ジェイン オースティン (著); Jane Austen (原著); 大島 一彦 (翻訳); 中央公論新社 (刊)
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2012年01月17日

エマ〜恋するキューピッド〜 Emma(ドラマ)




エマ〜恋するキューピッド〜」(Emma)は2009年のイギリスドラマ。BBC製作。ジェイン・オースティン原作。

BBCが制作したジェーン・オースティンのドラマの中でも、れんが造りのちょっと可愛いお屋敷『ハートフォード』が一番住み心地が良さそうで、見ていてちょっとうっとりしてしまいました。その居住空間の描き出し方がとても丁寧で、登場人物のキャラクターや個性にぴったりな空間が作られています。

DVDの特典映像で製作者達の観点が垣間みられるインタビューがついているのですが、登場人物の事を考えて彼らの家やお屋敷を決めているそうです。「高慢と偏見」でも、ベネット家→ビングリーの別荘→ペンバリー(ダーシーの屋敷)と登場するお屋敷がグレードアップしていく様に彼らの経済状態の格差が垣間みられたりします。

この「エマ〜恋するキューピッド〜」のエマの住んでいる可愛らしくて光がいっぱい差し込む明るいお屋敷ハートフォードは、彼女本人をよく表しているような人を喜んで招き入れるような居心地の良さが、画面を通して伝わって来るような感じがします。

あらすじ
母親亡き後、心配性な父親(マイケル・ガンボン)によって旅行に行く事も許されず、住み込み家庭教師のアナ・テーラーが片時も目を離さず大事に育てられたエマ・ウッドハウス(ロモーラ・ガライ)。姉が結婚して家を出た後、アナにもマッチ・メイキングをしてウェストン氏と結婚し、家を出て行く事になります。

これで自分にはマッチ・メイキングの才能があると思い込むエマは、幼い頃から兄のような存在のナイトリー(ジョニー・リー・ミラー)にたしなめられながらも、新しく友達になった寄宿舎の学生ハリエット・スミス(ルイーズ・ディラン)を、牧師のエルトンと結び付けようとするのですが。。。

裕福な家庭に育ち、元気で無邪気でハキハキと思った事の言えるエマは、若さもあって時々思い込み違いをしたり、無礼な事を言ってしまったりします。そういう彼女を容赦なくいさめる事が出来るのがナイトリーです。不幸な境遇に居るベイツ夫人に対しての馬鹿にした発言を、かなりの勢いでナイトリーに怒られてしまいます。

エマは無邪気で可愛らしいのですが、「農家の妻となんか友達になれない」とか、「商家出身の格下の家のパーティーに行くなんて」というような発言がポロポロ出てきます。当時の階級社会を考えるとそれがその感覚が普通なのでしょうね。とてもストレートに当時の感覚が描かれています。

そんな箱入り娘で自分の生まれた土地から出た事の無いエマは他人の縁結びに一生懸命になるのですが、自分の事にはとても疎くて、自分が熱い視線を送られていてもまったく気づきません。こういう恋愛模様を丁寧に描き出すのがジェイン・オースティンはとても上手ですね。時代を超えて現代にも共通するような人間模様がそこにあります。

大好きなエマを大目にみたり依怙贔屓しないで、思いっきり怒ったりお説教できるナイトリーがとても良いです。こういう風に自分を甘やかさないで言うべき事は言ってくれる相手はとても大切ですね。そういう彼の存在に気づく事で、エマも少し成長します。彼ならエマを地に足の着いた女性にしてくれそうです。

色々な意味でエマは恵まれた境遇に生まれた女性ですね。

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2012年01月14日

高慢と偏見 Pride and Prejudice(ドラマ)



高慢と偏見」(Pride and Prejudice)は1995年のイギリスのドラマ。BBC製作。ジェーン・オースティン原作。

「高慢と偏見」なんて堅いタイトルがついているので、シェイクスピアを読んだ後にイギリス文学は微妙に合わないかな、と『偏見』を学生時代に持ってしまい読んだ事の無かった作品なのですが、こんなに面白かったんですね。「高慢」なお金持ちの大地主ダーシーと、その彼の態度に「偏見」を持ってしまうヒロインのエリザベスの恋のお話です。

5時間以上もあるドラマなのですが、時間を忘れて見入ってしまいました。

登場人物の描き出しが上手で、所々で笑わされてしまいます。特にベネット家の人々のキャラクターの描き方が面白くて、「いるいる、こういう人」と言ってしまいたくなるような、ヒステリーが酷くて事あるごとに大げさに騒ぎ、思慮がなくてちょっと下品な事を平気で言ってのける母親ベネット夫人、(いますねこういうおばちゃん)それになんとか堪えている良識があって優しい父親ベネット氏、(奥さんが強烈だと、どこの国でも旦那さんはそれに耐え忍ぶ事になるのですね。)

父親に似て分別があり、顔立ちもとても美しい長女ジェーンと次女エリザベスと比べて、父親は下の三人を『英国一の馬鹿娘達」と表する程に色々と残念。影が薄く、全く目立たないのにKY行動で時々悪く目立ってしまう三女のメアリー、四女のキティは末娘のリディアと喧嘩ばかりしても気質が似ているのでいつも二人でくっついています。母親のお気に入りで、彼女にそっくりな末娘のリディアは思慮の無さと男好きな性格で、大騒動を後に起します。

優しくて一番美しいとされる長女のジェーンに対し、本編の主人公で次女のエリザベスは美しく思慮深いだけでなく、自分の意見を誰に対してもハキハキと言える性格です。高慢で人を見下していたダーシーは、そんな彼女の一筋縄では行かない所にどんどん惹かれていきます。

あらすじ
田舎町ロンボーン。独身の青年資産家ビングリー(クリスピン・ボナム=カーター)が別荘を借りて姉妹や友達のダーシー(コリン・ファース)を連れて越してきます。噂を聞きつけベネット夫人(アリソン・ステッドマン)は早速娘を引き合わせようと夫を煽り騒ぎ立てます。舞踏会に参加し、ビングリーはジェーン(スザンナ・ハーカー)と良い雰囲気になるのですが、貴位の高いダーシーはその失礼な態度でエリザベス(ジェニファー・イーリー)に悪印象を残します。

ジェーンはビングリーの妹に招かれるのですが、ビングリーが明日までいないと知った母親は「雨が降ってきそうだから、馬車じゃなくて馬で行きなさい。そうすれば帰れなくなって泊まりがけでビングリーに会えるから」とジェーンに強要し、ずぶ濡れで屋敷へ行ったジェーンは風邪を引いて寝込んでしまいます。

姉を心配して会いに来たエリザベスも、しばらくビングリーの屋敷に留まる事になるのですが、ダーシーは自分より格下の出身と見下していたエリザベスの美しい瞳に惹かれ始めます。ダーシーと結婚する事を狙っているビングリーの妹は、何かと嫌味を言って自分たちより格下のエリザベスにちょっかいを出すのですが、エリザベスは持ち前の知性で彼女達の嫌味を上手く聞き流します。。。

ベネット家は五人姉妹しかいないので、例のごとく父親の遺産は従兄弟に渡ってしまう事になっています。僅かな所持金しか残らない娘達や自分の行く末を按じるのは分かるのですが、かなり下品に娘達を男性とくっつけようとベネット夫人は躍起になったりします。ビングリーに招かれた舞踏会で大声でビングリーの年収の噂や「ジェーンと結婚して大きな結婚式を開くに違いない!」なんて周り中に聞こえる様に言ったりするので、『ああ、お母さん恥ずかしいから止めて』というエリザベスの心の声が聞こえて来るようです。

そんな彼女の有様と男達と大騒ぎをする末娘のリディアを見て、ダーシーは家の格が違うジェーンと関わらない様にビングリーを説得してしまいます。当時のイギリスは階級社会なので、ジェーン・オースティンの作品では結婚となると必ずと言っていい程相手の家柄や持参金の話しが登場してきますね。今の婚活で「年収はこれくらいで〜」なんて言うのが可愛く見えるくらいに、かなりシビアに相手の家の格式や経済状況があからさまに語られています。

そしてエリザベスのキャラクターですが、物怖じせずに率直に自分の思った事を喋ったり、思慮深く周りの空気を読んで会話を挟んだりすることが出来ます。人形の様に飾り物として美しいのではなく、自分の主張を持った知性ある彼女は、「格上の俺様」臭がぷんぷん匂う態度で彼女とその家柄を見下し、侮辱的なプロポーズしてくるダーシーをつっぱね、バッサリ切り落とします。

いくらお金を持っていようが自分より格が上であろうが、そんな事は関係なく自分の信念を貫く事の出来る彼女のキャラクターが快いです。この時代に自分の信念で女性が行動するところがこの作品が高く評価され続けている所でもあるのでしょうね。

まだ見ていない方は、是非観て下さい。

高慢と偏見[Blu-Ray] ジェイン・オースティン原作 リマスター&豪華コレクターズデザイン...
高慢と偏見[Blu-Ray] ジェイン・オースティン原作 リマスター&豪華コレクターズデザインケース仕様 【日本語吹替/日本語・英語字幕収録】 / コリン・ファース, ジェニファー・イーリー (出演); サイモン・ラングトン (監督)高慢と偏見 ジェイン・オースティン原作 コリン・ファース主演 リマスター&豪華コレクターズデザインケース仕様 【日本語吹替/日本語・英語字幕収録】 [DVD] / コリン・ファース, ジェニファー・イーリー (出演); サイモン・ラングトン (監督)ジェイン・オースティン Collectable DVD-BOX(「分別と多感」「高慢と偏見」「マンスフィールド・パーク」「エマ」「ノーサンガー・アベイ」「説きふせられて」+特典DISC) / ハティ・モラハン, チャリティー・ウェイクフィールド, コリン・ファース, ジェニファー・イーリー, シルヴェストラ・ル・トゥゼル (出演); ジョン・アレクサンダー, サイモン・ラングトン, デビッド・ジルズ, ジム・オハンロン, ジルズ・フォスター (監督)高慢と偏見 上   ちくま文庫 お 42-1 [文庫] / ジェイン オースティン (著); Jane Austen (原著); 中野 康司 (翻訳); 筑摩書房 (刊)
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2012年01月11日

説き伏せられて Persuation (ドラマ)



説き伏せられて」(Persuation)は2007年のイギリスドラマ。BBC製作。原作は女流作家ジェーン・オースティンの小説。

日本でも両親の反対で結婚を諦める、なんて話しは今でもある事だと思いますが、このジェーン・オースティン原作の「説き伏せられて」は、父親の反対にあって本当に愛する人との結婚を取りやめてしまったアンが主人公です。三人姉妹の中間子にあたるアンは周りをとても気にする、知的で優しい性格の女性です。

目立つタイプではなく、何かがあったら自分が面倒を見る役目を買って出てしまうちょっと損な性格でもあって、姉や妹の様に自分の我が侭を通せない、そんな控えめな彼女。(中間子にありがちな性格?)そんな彼女が結婚出来なかった相手をいつまでも思い続ける、まるでロマンチックな純愛少女漫画の王道を行くようなストーリーです。

あらすじ
27歳のアン・エリオット(サリー・ホーキンス)。19歳の時に恋に落ち、結婚の約束を名前も財産も無い海軍将校のウェントワース(ルパート・ペンリー=ジョーンズ)と交わすのだけど、父親の猛反対に会い、周囲の説得もあって結局破談にしてしまった過去があります。経済状況に悩んだエリオット家は邸宅を貸し出す事のするのですが、借主であるクロフト提督の妻の弟はウェントワースである事が分かります。

ウェントワースが戦争で名を上げ大佐となり、財産を築き上げた事をアンは知っていおり、自分が説得されて自分の心より他人の意見を聞いてしまった事を強く後悔しています。父と姉はバースに向かい、アンは病気になったとよく大騒ぎをする妹の面倒を見る事になり、妹の嫁ぎ先に滞在する事になります。

自分がした仕打ちを引け目に感じてしまっている為、ウェントワースにもう一度会える事を淡く期待しながらも、実際に会う事を恐れるアン。若い女の子達がハンサムでリッチな独身のウェントワースの事を噂してお近づきになろうとしている様子を見て、心がかき乱されます。。。

27歳で結婚していないアンはちょっと行き遅れた女性、という感じでしょうか。(姉のエリザベスも独身のようですが)当時のイギリスでは女性が財産を相続する事は出来なかった訳ですから、父親が亡くなると、その遺産が従兄弟に行ってしまう事になってしまいます。そうなった時、もし独身のままだったらどうなってしまっていたのでしょうね??とても気になります。

ウェントワースとその同僚達との食事の時の会話で、とても面白いと思ったシーンがあります。ベニック大佐は婚約者を亡くしてしまって嘆き悲しんでいるのですが、その彼が男には一人の女性を思い続ける一途さがあるというのに対し、アンは女が一途さに欠ける事は無いと応答します。それに対し、「詩や小説に描かれる女性はとても気まぐれだ」と言うベニックに「作者は男性でしょ?」とアンが返します。(ちなみにベニック大佐は後にあっさりと違う女性と結婚してしまいます。)これは、ジェーン・オースティン自身の発言なのでしょうかね?

昔読んだ夏目漱石の書いた小説に登場する女性で、その描かれ方に疑問を抱いた事があったのを思い出してしまいました。男性作者の描く女性と、ジェーン・オースティン自身が思う女性のあり方の違いが、何気にちょっと皮肉っぽく語られているのでしょうか。異性の立場からみた一般的な女はこうだ、という部分の思い込みや偏見に対する、彼女の感想が現れているのかも知れませんね。

アンは自分の意思を通さなかった事を後悔し、いつまでも相手を思い続けて泣いたりしている割には何か行動を起こす訳ではなく、遠巻きに彼と接して気分のアップダウンを繰り返しているわけですが、その彼女に自分の意志を持って行動をさせ、最後に自分で選択させる。そういう所にジェーン・オースティンの思う女性像が現れているような気がします。

説きふせられて ジェイン・オースティン原作 豪華コレクターズデザインケース仕様 【日本語吹替/...
説きふせられて ジェイン・オースティン原作 豪華コレクターズデザインケース仕様 【日本語吹替/日本語・英語字幕収録】 [DVD] / サリー・ホーキンス, ルパート・ペンリー=ジョーンズ (出演); エイドリアン・シェアゴールド (監督)説きふせられて[Blu-Ray]ジェイン・オースティン原作 豪華コレクターズデザインケース仕様 【日本語吹替/日本語・英語字幕収録】 / サリー・ホーキンス, ルパート・ペンリー=ジョーンズ (出演); エイドリアン・シェアゴールド (監督)ジェイン・オースティン Collectable DVD-BOX(「分別と多感」「高慢と偏見」「マンスフィールド・パーク」「エマ」「ノーサンガー・アベイ」「説きふせられて」+特典DISC) / ハティ・モラハン, チャリティー・ウェイクフィールド, コリン・ファース, ジェニファー・イーリー, シルヴェストラ・ル・トゥゼル (出演); ジョン・アレクサンダー, サイモン・ラングトン, デビッド・ジルズ, ジム・オハンロン, ジルズ・フォスター (監督)説得 (中公文庫) [文庫] / ジェイン オースティン (著); Jane Austen (原著); 大島 一彦 (翻訳); 中央公論新社 (刊)
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2012年01月06日

分別と多感 SENSE AND SENSIBILITY(BBCドラマ)


英語版

分別と多感」(SENSE AND SENSIBILITY)は2008年のイギリスのドラマ。BBC製作。ジェーン・オースティン の『分別と多感』が原作。

スターを揃えて製作されたアン・リー監督の同じタイトル(邦題は「いつか晴れた日に」ですね)が有名ですが、こちらはBBC製作のドラマです。映画版のキャストよりも女優の年齢が若めで原作に忠実なようです。イギリス18世紀末から19世紀初頭のイギリスの地主達の優雅な暮らし振りや、男性社会の中で振り回される女性達の運命を描いています。

このドラマで初めて知ったのですが、当時女性には相続権がなかったのですね。当主が死ぬと長男が全ての財産を相続し、金汚い妻の尻に敷かれて自分の母や妹達はおっ放り出してしまいます。(これじゃその後の女性人権運動が激しかった理由も分かる気がしますね。)でもそんな境遇にも負けずに、恋に傷つきながらも真っ直ぐに生きて幸せを手に入れる姉妹の物語です。

あらすじ
ダッシュウッド氏が亡くなり、長男ジョンに全ての財産が託され、母親と3人の妹、エレノア(ハティ・モラハン)、マリアンヌ(チャリティー・ウェイクフィールド)、マーガレット(ルーシー・ボーイントン)の面倒をきちんと観る様に遺言が残されるのですが、ジョンの妻ファニーは「自分たちの息子の取り分を減らす気か」とジョンを丸め込んで四人を窮地に追いやります。

今までの贅沢な暮らしから一気に転落してしまう母と三姉妹。そこへファニーの弟エドワードが訪れます。ファニーとは違い、フレンドリーな彼は三姉妹からも受け入れられ、特にエレノアは彼に引かれ始めます。ファニーからの屈辱的な扱いに堪えかねた母は、従兄弟から使っていないコテージハウスを安くで貸し出してもらい、四人はすぐさま引っ越す事になります。エドワードとエレノアはお互いに引かれ合いながらも、友達として別れます。

田舎のコテージハウスに到着し、その有様に落胆する夫人とは違い三姉妹はその暮らしを楽しみ始めます。そして従兄弟の計らいで、彼らの屋敷で毎日夕食をとり交流を深める事になった彼女達は、そこで初恋をいつまでも忘れられず独り身で居るブランドン大佐に出会います。。。

分別で自分の感情を押し殺す長女エレノアと、多感で自分の感情に素直な次女エレノアの姉妹を中心に、ストーリは展開します。若く綺麗で教養があり、育ちの良い姉妹を巡って、しがらみから逃れきれない男や、中途半端な男、そして年上の包容力のある大佐などが登場し、姉妹の心をかき乱します。男性の登場は時にはドラマチックで、純愛に憧れる17歳のエレノアを一気にロマンチックな恋愛感情に走らせたりします。

女性に長く人気のある小説なだけあって、いきなり貧乏になってしまったり、小姑に意地悪されたり、次々に登場する素敵な男性との恋に悩んだり、健気に初恋の人を主人公が思い続けたり、どの時代にも共通するようなその恋愛ドラマの王道のような設定は、少女時代に読んだ純愛漫画のように続きが気になって156分あるこのドラマが短く感じられてしまうくらいです。

可愛い三女のマーガレットの台詞で、「どうして女はいつも待っていなくちゃいけないの?」というのがあります。姉達が男性に振り回されたり、なんだかんだで受け身な立場しか取れない様子を見ての発言なのだと思いますが、苦しい恋愛を通してお互いの違いを理解し合い、絆を深める姉妹愛が描き出されています。境遇を嘆くのではなく、与えられた環境の中で自分の幸せを選んでつかみ取る、そんなポジティブな恋愛ドラマです。

特に女性にお勧めのドラマです。

分別と多感[Blu-Ray] ジェイン・オースティン原作 豪華コレクターズデザインケース仕様 ...
分別と多感[Blu-Ray] ジェイン・オースティン原作 豪華コレクターズデザインケース仕様 【日本語吹替/日本語・英語字幕収録】 / ハティ・モラハン, チャリティー・ウェイクフィールド (出演); ジョン・アレクサンダー (監督)ジェイン・オースティン Collectable DVD-BOX(「分別と多感」「高慢と偏見」「マンスフィールド・パーク」「エマ」「ノーサンガー・アベイ」「説きふせられて」+特典DISC) / ハティ・モラハン, チャリティー・ウェイクフィールド, コリン・ファース, ジェニファー・イーリー, シルヴェストラ・ル・トゥゼル (出演); ジョン・アレクサンダー, サイモン・ラングトン, デビッド・ジルズ, ジム・オハンロン, ジルズ・フォスター (監督)分別と多感 (ちくま文庫) [文庫] / ジェイン オースティン (著); Jane Austen (原著); 中野 康司 (翻訳); 筑摩書房 (刊)
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