2011年09月14日

銃殺 King & Country


グロ注意。これしか動画がなかったのです。

銃殺」(King & Country)は1964年のイギリス映画。ジョゼフ・ロージー監督の白黒映画。

第一次世界大戦が舞台の映画です。戦場が舞台なのですが戦い自体がテーマなのではなく、そこで人間がどう扱われ、戦争がいかに非人道的なものであるか訴えた映画です。ストーリーは脱走兵ハンプの裁判を中心に主に会話で進められて行きます。

あらすじ
1917年、第一次世界大戦まっただ中。逃亡罪による軍法会議にかけられる事になったハンプ二等兵(トム・コートネイ)。ハーグリーブス大尉(ダーク・ボガード)は彼の弁護を命じられ、事情聴衆を始めます。

純朴なハンプ青年は、『そんな勇気はないでしょ』バカにしてけしかけて来た義母と妻を見返す為に自ら軍に志願した事、自分が前線に配備され、同じく志願して闘ったものは全て死に最後の一人の生き残りであった事、すぐ5-6メートル先を一緒に歩いていた仲間が砲弾に当りその血を浴びて新しい軍服を新調させられた事、国にいる妻は近所の男と不倫をしている事、爆弾穴に落ちて死にかけ、ついに自分の番が回って来たと限界を感じた事などを語り始めます。。。

20代前半のハンプ青年が経験した戦場は余りにも過酷です。絶え間ない砲弾と、次々に死んで行く仲間達。精神的な不安定からくる不眠で軍医を尋ねても、「そんなのよくある事」と何故か下剤を処方される始末。戦場がどういう所か知り得なかった青年が、「国王と国の為に」(原題ですね)戦場に来てみれば、そこは泥沼の地獄。

精神的に限界が来た青年は計画的に戦場を逃げ出したのではなく「気づいたら祖国を目指して歩き始めていた」とハーグリーブス大尉に当時の心境を語ります。大尉は限界に追い込まれた青年が、自分の生存本能から砲弾から離れて行ったんだと理解し、彼の弁護に挑みます。大尉の弁護は人道的観点から全うな理論で進められて行くのですが、戦争という状況が作り出す戦場での正論がそこに立ちはだかります。

事情聴衆を受けるハンプのストーリーと平行し、戦友達が噛み付いて来たネズミに腹を立て、ネズミを捕まえて裁判にかけるシーンがありす。建前だけの茶番劇に近い裁判を揶揄しているのですが、ネズミの運命なんて人間のひと捻りであっけなく終わってしまいます。ネズミの運命と大して差のないハンプ青年の運命。戦争を経験した事の無い私たちに戦場がどういう所なのか、どういう風に人間を変えてしまうのか語りかけて来る映画です。

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銃殺 [DVD] / ダーク・ボガード, トム・コートネイ, レオ・マッカーン (出演); ジョセフ・ロージー (監督)ジョセフ・ロージー BOX J・ロージー×D・ボガード×中田秀夫《初回生産限定》 [DVD] / ダーク・ボガード, スタンリー・ベイカー, ジャクリーヌ・ササール, ジェームズ・フォックス, サラ・マイルズ (出演); ジョセフ・ロージー (監督)
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2011年03月27日

ティアーズ・オブ・ザ・サン Tears of the Sun


英語版

ティアーズ・オブ・ザ・サン」(Tears of the Sun)は2003年のアメリカ映画。「ダイ・ハード4」となるべく企画された映画なのですが(初期のサブタイトルはLive Free or Die Hardで進められていそうです)、民族浄化などかなりハードな内容なので変更されたそうです。

日本で自衛隊やアメリカ軍の被災地での活躍が伝えられていますね。日頃厳しいトレーニングを受けている軍人さん達はイザという時に頼りになりますね。

この映画はアメリカ軍が内線の続くナイジェリアからアメリカ人を救出するという作戦から始まるのですが、途中から人道的な救助活動劇を見せます。民族浄化の残虐行為を繰り返す反政府軍の行為を目の当たりにして、ブルース・ウィリス演じるウォーターズ大尉は当初のミッションから外れた救出作戦を行います。

あらすじ
内線の続くナイジェリア。ムスリムのフラニ族率いる反政府軍が大統領一家を暗殺し、キリスト教系イボ族を一掃して行きます。ウォーターズ大尉(ブルース・ウィリス )率いる米海軍特殊部隊SEALが招集され、アメリカ人救出作戦が言い渡されます。

キリスト教系クリニックで働く女医リーナ・ケンドリックス(モニカ・ベルッチ)と教会の神父、修道女を救出せよとの任務に従いクリニックに赴くのですが、リーナは村の人々を置き去りにするのを拒みます。渋々移動出来る村人を引き連れてジャングルの中を歩き続け、ヘリで救出する事になっていた地点にたどり着くのですが、ウォーターズ大尉はニーナだけを連れて飛び立ちます。

騙された事にニーナは大激怒するのですが、ヘリで上空からクリニックの惨状を確認したウォーターズ大尉は村人達を置き去りにした地点へ逆戻りします。子供達をヘリに乗せ先に搬送するのですが、上司の怒りを買い歩いて移動する事になってしまいます。。。

確かに内容的に、何をやっても死なない男"ジョン・マクレーン"はこの映画向きではないですね。ダイ・ハードはちょっと笑える要素も含んだコミカルなアクション映画だし。不死身すぎるマクレーンを物語の中心にしたら、ただあざといだけに終わってしまったでしょうね。

モニカ・ベルッチはもちろんイタリア人なので、映画上ではアメリカ人と結婚してアメリカ国籍を取った女医として救出対象になります。人道的な女医という立場から行動するので、救出に来たアメリカ兵達をかなりの危険に巻き込んでしまいます。

いくらミッションとは言え、軍人さん達も人間です。自分達の戦争ではない戦争に巻き込まれて命を失うのはどうなのか?とも思いますが、小さな村々が襲撃されて残虐行為が行われていくのを目の当たりにして、ウォーターズ大尉のもとに結束して村人達を捨てる事無くジャングルを突き進みます。その感情面から正しい行動を起こそうとする登場人物達は、アメリカで共感されるヒーロー像ですね。その決断を応援してしまいます。


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2011年01月21日

地獄の黙示録 Apocalypse Now


英語版トレーラー

地獄の黙示録」(Apocalypse Now)は、1979年製作のアメリカ映画。フランシス・フォード・コッポラ監督によるベトナム戦争映画。アカデミー撮影賞と音響賞受賞。カンヌ国際映画祭パルム・ドール受賞作品。

学生の時に観た作品なのですが、大人になってから観て感想が変わってしまった作品のうちの一つです。当時気づかなかった白人の人達の好きそうな「エキゾチックでエキセントリックなアジア」の捉え方がちょっと鼻についてしまいました。これはアメリカ映画にありがちではあるのですが、文化の事になると表面的なインパクトを重視しすぎて、その「変な世界にいる普通なオレ」的なうさん臭さが匂ってしまいます。やはり評論家達の間でもやっぱり賛否両論だったようです。

153分(特別完全版は202分)と長い映画で、有名なヘリが並列して飛来し密林を爆撃するシーンや、徐々に気違いじみて行く若い兵士達の行動の描き方、じっとりとしたアジアの密林の雰囲気、そしてそこを流れる川を下って行く旅など前半はストーリーにかなり引き込まれます。徐々に盛り上がって来て。。。最後おかしな事にならなければ、と思ってしまいます。

映画はドアーズの「ジ・エンド」で幕を開けます。
あらすじ
1970年ベトナム戦争中期。陸軍空挺士官のウィラード大尉(マーティン・シーン)は再び戦場に戻ってきた。軍上層部に呼び出され、元グリーンベレー隊長で、何故かカンボジアのジャングルの中に独立王国を築いてしまったカーツ大佐(マーロン・ブランド)の暗殺命令を受ける。

ウィラードはパトロールボート「Erebus」(エレバス)にチーフのフィリップ(アルバート・ホール)、ジョンソン(サム・ボトムス)、ミラー(ローレンス・フィッシュバーン)、ヒックス(フレデリック・フォレスト)達と乗り込み、彼らに目的地を告げないまま大河を渡って行く。。。

マーティン・シーンはチャーリー・シーンのパパですが、本当にそっくりです。最初チャーリー・シーンかと思いました。この映画の中で、ちょっと自己考察的な兵士の役なのですが、その喋り方と表情が、徐々になんだかコントのように感じてしまう、「型」にハマった何かを感じてしまいます。

ローレンス・フィッシュバーン(マトリックスのモーフィアスですね)の映画初出演作で、当時18歳だったそうです。若くて細くてやんちゃで、なんだか笑えます。

マーロン・ブランドは何故この役を取ったのでしょうか。。良く分かりません。

邦題は「地獄の黙示録」で、Apocalypseは日本語にすると確かに黙示なのですが、"lifting of the veil" or "revelation"という意味があって、人類に隠されていた何かを開示するという意味があるようです。ベトナム戦争の惨状を開示しているという意味にも、あのマーロンブランドの世界を開示するという意味にも取れますが、いかがでしょうか。

地獄の黙示録 特別完全版 [DVD] / マーロン・ブランド, マーティン・シーン, デニス・ホッパー, ロバート・デュヴァル (出演); フランシス・フォード・コッポラ (監督)地獄の黙示録・特別完全版 [Soundtrack] / サントラ (演奏) (CD - 2007)地獄の黙示録 3Disc コレクターズ・エディション (初回生産限定) [Blu-ray] / マーロン・ブランド, ロバード・デュバル, マーティン・シーン, ローレンス・フィッシュバーン, クリスチャン・マルカン (出演); フランシス・F・コッポラ (監督)
posted by 淀川あふるー at 20:09 | Comment(0) | TrackBack(0) | 戦争 映画 | このブログの読者になる | 更新情報をチェックする
2011年01月17日

プライベート・ライアン Saving Private Ryan


英語版トレーラー

プライベート・ライアン」(Saving Private Ryan)は1998年のアメリカ映画。第二次世界大戦時のノルマンディー上陸作戦が舞台の戦争映画。スティーヴン・スピルバーグ監督作品。ロバート・ロダット、フランク・ダラボン脚本。アカデミー監督賞を含めた5部門を受賞。

何度か見ている映画なのですが、このお正月テレビで放映されていたので、途中からまた見てしまいました。この映画で一番インパクトがあるのは、なんと言っても最初の1944年6月6日オマハ・ビーチのノルマンディー上陸作戦シーンですね。約20分間なのですが、あまりの生々しい戦闘シーンに、最初見た時はかなり度肝を抜かれたのを覚えています。

浜辺に船が近づくにつれて緊張し出す兵士達、どんなに怖くても逃げられない状況。そしてその逃げ場が無い船の中にいきなり降り注ぐマシンガンの雨、なんとか上陸してもそこは砲弾とマシンガンの弾が容赦なく飛び交い、浜辺は兵士達の地で真っ赤に染まってしまっている。

腕や足が吹き飛んだ兵士達、内蔵が飛び出し「ママ」と断末魔の叫び声をあげる兵士や、震えながら少ししか体を隠さない盾の後ろで小さくなっている、多分まだ10代の兵士達。負傷した兵士を引きずって歩いていても、その体が途中で半分になっていたり、とにかく地獄の戦場。次の瞬間、自分が生きている保証は全くない戦場の現実。所々、爆音で耳が一瞬聞こえなくなるかのような効果音も臨場感を出していて、見ていて声を失ってしまう長い20分です。
このシーンを見るといつも、戦争経験者のおじいちゃん達に敬意を抱いてしまいます。

このオマハ・ビーチのシーンの終わりにある戦死者にカメラがフォーカスされるのですが、それがショーン・ライアンで、ライアン4兄弟のうちの一人です。ライアン4兄弟は全員参戦していたのですが、4人中3人が一週間のうちに戦死してしまいます。母親はその訃報を一気に聞く事になります。4男であるジェームズ・ライアンに恩情が出され、帰国命令が下ります。さて、ここからが本筋の、「ライアン一等兵の救出」が始まります。

あらすじ
オマハ・ビーチ上陸作戦で生き残ったミラー大尉(トム・ハンクス)の下に、ジェームス・ライアン上等兵(マット・デイモン)をノルマンディー戦線から探し出し無事帰国させよとの任務が下されるのですが、ミラー大尉を含めた8人が、そのジェームス・ライアン救出作戦に挑む事になります。たった一人の兵士を救出する為に、8人の男達が命がけで戦火をくぐり抜けてライアン一等兵を探しまわります。。。

1人の為に8人の命を犠牲にしてよいのか?など色々な論議を呼ぶ映画ですが、実際にモデルになったナイランド兄弟のフレデリック・ナイランド三等軍曹は、救出劇はなく、自分で帰国したそうです。アメリカには、Sole Survivor Policyというのがあって、これは5兄弟全員が戦死した事をうけて、一人だけ生き残った息子や、ひとり息子をドラフトしないという規則なのだそうですが、緊急事態が発生した場合は効力を失うそうです。

マット・デイモンとヴィン・ディーゼルが初々しいですね。そして、トム・ハンクスの細かい所の演技力に感心してしまう映画です。戦場にいる一人の兵士なのだけど、ただ戦うだけでなく人間であるという部分を凄く意識させる演技をしています。

戦争について考えさせられる映画です。

プライベート・ライアン [DVD] / トム・ハンクス, トム・サイズモア, エドワード・バーンズ, マット・デイモン, バリー・ペッパー (出演); ロバート・ロダット (脚本); スティーブン・スピルバーグ (監督)プライベート・ライアン スペシャル・コレクターズ・エディション [Blu-ray] / トム・ハンクス, トム・サイズモア, エドワード・バーンズ, バリー・ペッパー, アダム・ゴールドバーグ (出演); スティーブン・スピルバーグ (監督)
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2010年03月18日

ハート・ロッカー The Hurt Locker


この予告ちょっと褒め過ぎ。

「ハート・ロッカー」(The Hurt Locker)は、2008年制作のアメリカ映画(アメリカでの公開は2009年6月)。アカデミー賞では作品賞、監督賞(キャスリン・ビグロー)、オリジナル脚本賞、編集賞、音響編集賞、音響調整賞の6部門で受賞。2004年イラクで、ジャーナリストとして爆弾処理班と行動したマーク・ボールの脚本。

さて、これだけアカデミー賞をとって、しかも女性監督(キャスリン・ビグロー)が、ハードな戦争ものの映画を製作したとあったので、ちょっと期待して観たのですが。。。ただで借りたDVDで良かった、という感想。

イラクのバグダッド郊外に駐留するアメリカ軍の爆弾処理をする特殊部隊のU.S. Army Explosive Ordnance Disposal (EOD) 。ウィリアム・ジェームズ一等軍曹( ジェレミー・レナー)が、殉死したトンプソン二等軍曹(ガイ・ピアース)の代わりにEODをリードする事になります。800以上もの爆弾を処理して来たウィリアム軍曹は、神経を消耗する爆弾処理を数多くこなしたせいか、感覚が麻痺したような感じで基本的な安全対策も行わず、プロトコールを無視したやり方で、かなり無鉄砲にチームをリードし始めます。

さて、慎重を要する爆弾処理のシーンが満載なのですが、心理的に盛り上げる為に、途中で邪魔が入ったりなんだりして見る側のドキドキ感を盛り上げてくれます。自爆テロなど、残酷なシーンも多いのですが、何故かそこまで心に響きませんでした。ゲームを前半で登場させてたので、ゲーム感覚で人が死んで行くのと重ね合わせたかったのかも知れないけど、その説得力はなかったです。戦争映画にありがちなシーンや、言いたい事は分かるんだけど、説得力が微妙に無い構成(特に後半)と、見せ方で失敗してる部分が多い気がしました。

期待して観ると、肩すかしを喰らいます。

ハート・ロッカー [DVD]

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posted by 淀川あふるー at 16:02 | Comment(0) | TrackBack(0) | 戦争 映画 | このブログの読者になる | 更新情報をチェックする
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