英語版
「ロシア52人虐殺犯/チカチーロ」(Citizen X)は1995年のアメリカのTV映画。ソビエト連邦社会主義共和国で起こったアンドレイ・チカチーロによる連続殺人事件を描いた映画。
これまた制作側の意識をすっかりムシした邦題がついて、「ロシア52人虐殺犯/チカチーロ」だとチカチーロにフォーカスを当てた映画のように思えてしまいますが、ソ連の保守的な旧体制の中で顔の見えない殺人犯を情熱的に追い求めた捜査官の姿を描いた映画です。原題の『Citizen X』(市民X)は、誰だか分からない犯人を市民Xと呼んでいる事から来ています。なので、チカチーロを追う捜査側が中心の熱い男達のドラマ映画です。
日本版の昔のビデオ?のパッケージデザインも『どれだけホラーなグロ映画なんだろう?』とミスリードするようなものになってるので、センセーションで売ってやろう、という嫌らしさが伺えてしまいますね。残念ながら、チカチーロの残虐行為や心理状態にフォーカスを置いている映画ではないので、殺害シーンはお昼のドラマの方が過激なんではないか?という感じです。
あらすじ
1982年モスクワ南部、ロストフ州。検死官ヴィクター・ブラコブ(スティーヴン・レイ)の元へ農場で発見された子供の遺体が送られてきます。もっと仕事をしろとブラコブにせかされて近隣を捜査した警官達は次々に子供と女性の遺体を運び込んできます。事件の異常さを確認した彼は上層部に上申します。
ところが、上層部は「シリアルキラーなんて退廃的な西洋のものだ。社会主義国のソ連には存在しない。」といいはなち、唯一上司のフェチソフ少佐(ドナルド・サザーランド)のみが状況を理解してくれるのみ。ブラコブは主任捜査官の任を押しつけられます。
捜査を進めると、次々と上がる遺体に犯人の異常性は急を要すると認識したブラコブは、情報を集める為のTV公開と捜査員の増員、アメリカの特別捜査に協力を依頼する事を頼みますが、上層部の怒りを買い、上層部は捜査に他の捜査官を追加し、被害者の子供達に男子も含まれた事から彼の意向で「ゲイをしらみつぶしにする」という捜査に乗り出す事になってしまいます。苛立ちを隠せないブラコブに、フェチソフ少佐は上層部と上手くやるのも仕事のうちだと諭します。。。
ソ連の旧体制をみていると、上層部の人達の偏見で全てが決まってしまうやり方に主人公のブラコブ同様イライラさせられてしまいます。(こういうの、会社とかのシチュエーションでも時々ありますね。)無惨な姿で発見される少年少女や女性達を見続けて、「なんとしても捕まえてやる」と休み無く犯人を追い求める、ブラコブの静かで情熱的な姿を応援せずにはいられません。
まだプロファイリングや心理捜査などの無かった時代に自分なりの捜査法を考え、事件現場をなるべく乱さないで出来るだけの証拠を見つけようとする姿勢とか、犯人の行動を考えて電車で移動して駅でターゲットの目星を付けているに違いないとか、ブラコブの新しい試みに古い体質の上層部は全く理解をしめしません。ブラコブは更に心理学者に相談し、彼が分析した心理的な犯人像を描き出してもらうという試みもソ連で初めて取り入れます。
チカチーロが52人も殺害するまで野放し状態になってしまったのにはいくつか理由があるのですが、せっかくいい捜査官が居るのに彼を阻むまったくダメな上層部の人間、そして、1984年に一度捕まったのに、チカチーロが血液型と体液が一致しない「非分泌型」であったため(当時のソ連の血液検査が不十分だったという説もあります)釈放されてしまったという事があります。
アメリカで作られた映画なので登場人物達はロシア人という設定だけど、ちょっと訛りをつけた英語で喋っています。(ちょっとなんだか可愛い感じです。)ドナルド・サザーランドの演じるフェチソフ少佐がとても好人物で、彼がブラコブを理解しようと勤め、サポートして行く姿は、若い人達の新しい風を取り入れる事の出来る古い世代、というこれからのロシアの展望を象徴しているかのようです。
タイトルにビビらずに観ると、男達の熱い情熱ドラマを観る事が出来ます。
ロシア52人虐殺犯 チカチーロ [DVD] / スティーブン・レイ, ドナルド・サザーランド,...
![ロシア52人虐殺犯 チカチーロ [DVD] / スティーブン・レイ, ドナルド・サザーランド, マックス・フォン・シドー (出演); クリス・ジェロルモ (脚本); クリス・ジェロルモ (監督) ロシア52人虐殺犯 チカチーロ [DVD] / スティーブン・レイ, ドナルド・サザーランド, マックス・フォン・シドー (出演); クリス・ジェロルモ (脚本); クリス・ジェロルモ (監督)](https://images-fe.ssl-images-amazon.com/images/I/219CFBJ8DCL._SL160_.jpg)



この作品、高評価なのを見かけますが、実際はどんなもんかなと思っていたので、レビューを参考にさせて頂きました。やはりおもしろそうですね。
最後に警察側が報われる(犯人を逮捕できる)ので見終わった後にすっきりしそうだし、購入してみようと思います。
しかし、VHS版もDVD版も本当にパッケージがいやらしいですね(笑)。
>最後に警察側が報われる(犯人を逮捕できる)ので見終わった後にすっきりしそう
これは大きいですよね。そして、ドナルド・サザーランドのフェチソフ少佐は「一緒に働きたい上司」と言えるくらいとてもいいです。少佐の計らいに、ブラコブと一緒に「ウワーン」と泣きたくなってしまいました。
私自身がこのタイトルとパッケージに騙されて、ただただ「グロい!」で終わったらやだなーと思って見てなかった作品だったんですよ。
普段はあまり評価を気にせず映画をそのまま見るのですが、評価が良い(アメリカでも良いです)のを見て、思い直して見た作品です。
見終わって、良い意味で「あれ?」っとなった映画です。やっぱり、パッケージや邦題の付け方は大事ですね。