「スリーピング・ディクショナリー」(The Sleeping Dictionary)は2003年のアメリカ映画。
フィクションの映画でどこまでが事実なのかは定かではないですが、大英帝国の植民地だった20世紀前半のインドネシア・ボルネオ島のスリーピング・ディクショナリーと呼ばれる風習が描かれています。支配していくにあたって現地の言葉を素早く習得する事が必要だったイギリス人行政官達が、現地の「スリーピング・ディクショナリー」と呼ばれる女性を囲い入れて言語を学んでいくと言うお話です。要するに、言語はベッドを共にするガールフレンドから学んだ方が早い、というやり方なのですね。
ただし「スリーピング・ディクショナリー」と呼ばれる女性の娘もスリーピング・ディクショナリーになる、という事から見ると、やはり差別とは言わないまでも一般人とはちょっと一線を引かれた存在になるのでしょうかね。英国人とスリーピング・ディクショナリーの娘で、自分もスリーピング・ディクショナリーのセリマ役でジェシカ・アルバが登場します。父親がメキシカンという事でちょっとネイティブの血も入っているんでしょうか、何気にインドネシアの現地民役の人達の間で馴染んで見えます。(細身なのもしっくり来る理由でしょうね。)
あらすじ
インドネシア・ボルネオ島のサラワクに、若き英国人青年ジョン・トラスコット(ヒュー・ダンシー)が行政官として派遣されて来ます。上司であるヘンリー(ボブ・ホスキンス)に迎え入れられ、真面目で誠実なジョンは現地民イバン族にも受け入れられます。ジョンがすぐ現地語が覚えられる様に、スリーピング・ディクショナリーとしてセルマ(ジェシカ・アルバ)がやって来るのですが、「結婚するまでセックスはしない」という信条を持つジョンは彼女を拒否します。
セルマの美しさと、少し気難しくプライドを持つ彼女の様子に徐々に惹かれ出すジョン。ジョンと同様、彼女の父親は幼くしてイギリスに帰ってしまった事から父親を知らないという生い立ちに自分を重ねます。父親からの唯一のプレゼントの英語で書かれた本を一生懸命読む彼女の姿をみて、ジョンはセルマと一線を越えます。。。
ジョンは自らその部族の文化に飛び込み、セルマと一緒に過す事でどんどん現地語や風習を学んで行きます。どの言語でもそうだと思いますが、その国の文化に飛び込んで行ける人は言語の習得も早いですね。対するもう一人の行政官ネビルは現地民を見下し、意思の疎通どころか暴力を振るい、自国民としか交流しないので言語習得どころではありません。
さて、登場する女性達の置かれた環境の厳しさが凄いですね。セルマの様に良い男性に当たればいいけど、もしネビルの様なDV男に当たると、性のはけ口にされた上に殴られ蹴られする毎日が続いてしまいます。イギリス人男性が現地民と性的関係を結ぶ事は推奨されても、結婚する事は御法度です。白人女性と結婚する事が前提で、現地妻としてスリーピング・ディクショナリーを迎え入れるわけですね。
その他の女性達もその風習の弊害を受けます。後にジョンの妻となるヘンリーの娘のエミリーはもちろんの事、ヘンリーにスリーピング・ディクショナリーがいる事を知って現地に追いかけて来た妻のブレンダ。今で言うところの単身赴任で浮気されるような感じでしょうか。夫の行動が監視出来る様に現地に来たけど、娘は英国で教育させたいから5歳の時から離ればなれで暮らしています。スリーピング・ディクショナリーという風習がもたらす弊害が大きいので見ていてちょっと鬱になります。お国のためという大義名分を付けて堂々とやる分、余計に嫌らしさが鼻についてしまう風習ですね。
主人公ジョンの目線で行けばハッピーエンドを迎える映画なのですが、周囲の女性達の背負う荷は大きいですね。妻エミリーはいい人なだけに、余計に彼女の分も憤ってしまいました。ヘンリー役のボブ・ホスキンスが父性をかいま見せるシーンはジーンと来ます。
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