2011年07月13日

赤い航路 Bitter Moon


英語版

赤い航路」(Bitter Moon)は1992年のフランス・イギリス映画。ロマン・ポランスキー製作・脚本・監督作品。

男と女の愛憎劇をロマン・ポランスキー監督が描くとこういう感じになるのですね。

中年男と(実際の年齢設定は40歳くらいという事なのですが、ピーター・コヨーテはかなり老けて見えます。)若い女のこの世にありがちな年齢設定の年の差恋愛が、ありがちなパリを舞台にして語られていきます。中年アメリカ人男が舌ったらずな可愛い英語を話す美しいフランス人女性とパリで情熱的な恋に落ちる、というのももう一つの男性目線のツボなのかもしれません。年の差恋愛にありがちな状況に陥って、『まあ、こういう事になるだろうな』と言った展開を見せるのですが、そこでは終わらない所がポランスキー監督ですね。

中年男は自分の性欲を激しく刺激してくれる美しく若々しい肉体に溺れ、仕舞いには飽き、相手の束縛や未熟さが嫌になって女を捨てようとするのですが、すがりついてくる女にサディスティックな快感を覚えて相手を痛めつける快感を味わったりします。祖父の遺産で生きていける、40歳にして働かないし出版した事も無い、作家志望の万年プー太郎でパリをふらふらしてるような男ですから、一般的な男性の責任感とかは無縁な男性です。そして二人の関係は更に激しい憎しみの関係にシフトしていき、お互いを縛るのは体の関係と嫉妬というある意味単純な愛情からどうしても拭えない複雑な愛憎に変わってしまいます。

そういう男と女のドロドロの愛憎劇を、正しい普通の結婚生活を送っているであろう若いイギリス人男性ナイジェル(ヒュー・グラント)に中年男が執拗に語って聞かせるというスタイルで映画は展開していきます。ヒュー・グラントは見るからに誠実で真面目そうで、男と女の負の部分の恋愛を味わって来てはいないだろうあどけなさというか凡庸さを持っていて、中年男の格好の餌食になってしまいます。

あらすじ
イスタンブール行きの豪華客船でクルージングを楽しむ、結婚7年目の若い夫婦ナイジェル(ヒュー・グラント)とフィオナ(クリスティン・スコット・トーマス)。フィオナは女子トイレで船酔いに苦しむミミ(エマニュエル・セニエ)を見つけ、夫を呼び、二人で介抱してあげます。

ナイジェルはミミの夫という車いすに乗った中年男、作家志望のアメリカ人オスカー(ピーター・コヨーテ)に出会い、半ば強引に彼らの夫婦生活を聞かされる羽目になります。。。

真面目で「普通」という枠に縛られて生きているナイジェルは、始めはオスカーの話を『信じらんなーい』とか『ありえなーい』というノリで聞いているのですが、ヤッパリ男なので赤裸々な性描写にぐんぐん惹かれて、その禁断の果実に触れるかの様に彼の妻ミミにどんどん興味を持ってしまいます。

「君の性の限界点を広げてあげる」とおこがましく言い放つオスカーに、始めは嫌々というスタンスでいたナイジェルが、自ら妻にあれこれいい訳してオスカーやミミの元へしっぽを振って出向いてしまう、そのとってもコケティッシュ で三枚目的な役柄はヒュー・グラントにピッタリですね。人が良さそうで、こういう誘いにはすぐ引っかかってしまいそうなアホっぽさも兼ね備えています。そしてダンスのヘタさでもかなり笑わせてくれます。

エマニュエル・セニエのダンスシーンが多々登場して、白人女性にありがちな髪の毛をブンブン振ったり、両手で持ち上げたりする仕草で男を挑発したりするのがちょっと笑えてしまいました。クラブに行くとこういう髪の毛ダンスをする人は大概白人女性だったりします。セックスアピールとしての凄い効能とか何かあるんでしょうかね??

ダンスシーンはさておき、この映画でエマニュエル・セニエは若々しくてきれいな曲線の肉体を惜しげも無く披露しています。90年代だな、と思わせる眉毛の太さもなんだかセクシーです。ベッドで豹変する女王様的女から、愛する男に痛めつけられて自信をなくしてしおれる女、復讐に喜びを見出す歪んだ女、などコロコロと変わるその立場を上手に見せています。

平坦な愛情物語では物足りなくなってしまった方におすすめの映画です。

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赤い航路 【HDマスター】 [DVD] / ピーター・コヨーテ, エマニュエル・セニエ, ヒュー・グラント, クリスティン・スコット・トーマス, ヴィクター・バナルジー (出演); ロマン・ポランスキー (監督)赤い航路 [Blu-ray] / ピーター・コヨーテ, エマニュエル・セニエ, ヒュー・グラント, クリスティン・スコット・トーマス, ヴィクター・バナルジー (出演); ロマン・ポランスキー (監督)
posted by 淀川あふるー at 17:25 | Comment(0) | TrackBack(0) | 恋愛 映画 | このブログの読者になる | 更新情報をチェックする
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