英語版
「サマー・オブ・サム」(Summer of Sam)は1999年制作のアメリカ映画。スパイク・リー監督/製作作品。(スパイク・リー・ジョイント)
1977年に起きた"Son of Sam"(サムの息子)による実際に起こった連続殺人事件を描いた映画。殺人鬼自体を中心に描くのではなく、シリアルキラー「サムの息子」に怯える事件現場近隣の市民達の暮らしぶりや恐怖を、事件が起きてから犯人が逮捕されるまでに渡って描いている映画です。ちなみに、タイトルはシリアルキラーのニックネーム"Son of Sam"にかけて、"Summer of Sam"(サマー・オブ・サム)サムに脅かされた夏を描いています。
シリアルキラー「サムの息子」(リチャード・デヴィッド・ファルコ)は44口径の拳銃やショットガンを使い6人を射殺、8人に重軽傷を負わせています。「近所の家の犬に取り憑いた悪魔に命令されてやった」と自供しており、殺人だけでなく数千件に及ぶ放火も自供しています。
あらすじ
コラムニストのジミー・ブレスリンのナレーションで、現在の姿とは違うニューヨークの姿を描いた映画である事を告げて映画の幕が開けます。
1977年。妻ディオーナ(ミラ・ソルヴィノ)とディスコに遊びに来たヴィニー(ジョン・レグイザモ)。ディオーナの従姉妹が家に帰るのを送る、と言って妻を残してディスコを去り、車で従姉妹と浮気を楽しんでいたヴィニーは後ろにいた車に脅かされてその場を走り去るのですが、そこに男が現れ後ろにいた車のカップルを射殺して去って行きます。
ディスコに戻り、妻を連れて自分が浮気していた現場を車で通り過ぎようとしたヴィニーは、警察がその場所を取り囲んで捜査しているのに気がつきます。自分たちを脅した車の中を観てみると、そこには射殺されたカップルの死体。「これは神様が浮気をしている自分に対して警告をしてくれているのかも知れない」と考えたヴィニーは、妻に対して誠実であるようにしようと心を改めるのですが。。。
浮気が辞められないけど、自分の求めている過激な性生活を妻であるディオーナには求められないヴィニー、ヴィニーの友達でママの家に住んでいるちょっと変わり者のパンク青年リッチー(エイドリアン・ブロディ)、付き合いのあるドラッグの売人とその仲間達。彼らが普通に送っている生活の中に間接的に殺人鬼「サムの息子」が忍び込んで来て、徐々に高まる友達に対する不信、人間関係が崩れて行ったりする様が描かれています。
恐怖心から魔女狩りの様に怪しい人物を自分達で吊るし上げてしまう心情、そして人に流されてしまう人間の弱さの描き方は自然で、映画の終わりにかけて心理的に鬱屈していたものが徐々に高まり、クライマックスを迎える構成は「ドゥ・ザ・ライト・シング」を彷彿とさせます。
ゲイクラブでダンサーをするパンク青年役のエイドリアン・ブロディがいいですね。個性的な変人役をさせるとかなり上手な俳優さんです。ゲイクラブで赤いいや〜らしいライトに照らされて、ポップなバージョンの「ラ・ヴィ・アン・ローズ」に合わせてお尻をフリフリするシーンがかなりインパクトが強くて、こういう音楽とエイドリアン・ブロディの醸し出す雰囲気をぴったりとマッチさせるスパイク・リーのセンスに脱帽です。
当時の懐メロなソウルミュージックや"ディスコ"音楽も楽しめる映画です。
サマー・オブ・サム [DVD] / ミラ・ソルヴィーノ, ジョン・レグイザモ, エイドリアン・...
![サマー・オブ・サム サマー・オブ・サム [DVD] / ミラ・ソルヴィーノ, ジョン・レグイザモ, エイドリアン・ブロディ (出演); スパイク・リー, ビクター・コリッチオ, マイケル・インペリオーリ (脚本); スパイク・リー (監督)](https://images-fe.ssl-images-amazon.com/images/I/51CBP11T1DL._SL160_.jpg)

こういうのって人間社会では なくならないなあって思うんですよね。人減の弱さに起因しますから(>_<)