「カラヴァッジオ」(Caravaggio)は1986年のイギリス映画。イタリアの画家ミケランジェロ・メリージ・ダ・カラヴァッジオの生涯を描いているのですが、伝記というより、伝記を元にデレク・ジャーマン監督の自由な解釈で創作された映画です。
16世紀後半から17世紀初頭、ルネッサンス終末期を生きたカラヴァッジオの38年間の生涯を描いているのですが、カラヴァッジオは13回の傷害事件を起こしたと言われている程短気で気性が荒かったと言われており、またゲイもしくはバイセクシュアルであったとも言われているそうです。また、マリア様(処女)の絵のモデルに売春婦などを使って批判された事もあるようです。作品に一般人をモデルとして使っている事、見たものをそのままに、理想化させる事なく自然に描き出すリアリズムの作風で知られています。
自身も同性愛者である事を告白し、52歳でエイズで亡くなったデレク・ジャーマン監督の独自の感性でカラヴァッジオを捕えた作品です。カラヴァッジオのモデルとなる男性達の筋肉を陰影で現した肉体美の映像など、光と影をとても意識して撮影してあり、監督の細かい美的感覚が現れています。カラヴァッジオの作画中の絵画のモデル達のシーンのみならず、ちょっとしたシーンの背景でさえ映画全体が視覚的に配慮されていて、色彩とコントラストを駆使した動く絵画のようです。
そしてその当時の情景と絵画で作り上げた映画の中に監督の遊び心が見え隠れしていて、当時は無かった服装、車、タイプライター、電卓、雑誌などの小物が所々で使われており、また音楽もいきなりジャズがパーティシーンで使われていたりと映画を見る側は、その監督が意識して撮影した映画の物語の世界から「これは映画なんだから」とつまみ出されてしまうような不思議な感覚にも陥ります。
また出演している俳優達もイギリス人で、使われている言語も英語なのですが、特に主演のナイジェル・テリーはどう見てもちょっとお洒落なイギリスのおじさん、という風に見えてしまう部分があって、デレク・ジャーマン監督が意図的にそう作り上げている、敢えてなりきろうとしない、史実にとらわれないアートのもっと本質的な世界を強調しているようにも思えました。
あらすじ
ストーリーは、死期を迎えたカラヴァッジオ(ナイジェル・テリー)が混濁する意識の中で自分の生涯を回想しながら進行します。
ミラノ近郊で生まれたカラヴァッジオは、ローマの街角で絵を売ったり、少年愛嗜好の客をとって日銭を得たりしているのだけど、ある時病気になる。そこへ訪れたデル・モンテ枢機卿(マイケル・ガフ)の目に止まり、彼のサポートの元に創作活動に励む日々を送る。
ある日、逞しい肉体を持つ若者ラヌッチオ(ショーン・ビーン)と出会う。彼をモデルにして「聖マタイ伝」を描き上げ、カラヴァッジオの名声は高まる。ラヌッチオの恋人レナ(ティルダ・スウィントン)もカラヴァッジオのアトリエに出入りする様になり、奇妙な三角関係が始まる。。。
ストーリーを追ってその起承転結を楽しむというより、どちらかというとその映像を視覚的、感覚的に楽しむ映画だと思います。
カラヴァッジオ 【HDマスター】 Blu-Ray / ナイジェル・テリー, ティルダ・スウィン...




