「宮廷画家ゴヤは見た」(Goya's Ghosts)は2006年のスペイン/アメリカ映画。(英語が使われています。)スペインの画家フランシスコ・デ・ゴヤの生きた時代を描いた歴史映画。ゴヤの半生というより、歴史的背景を舞台に彼の周囲の人間模様などを描いています。「宮廷画家ゴヤは見た」という邦題はそこら辺を考えた巧いタイトルですね。(「家政婦は見た」を期待してしまいますが、そういう趣旨の映画ではありません。)
40代で宮廷画家の地位に付き、スペイン最高の画家として今日に名前を残すフランシスコ・デ・ゴヤですが、華やかな王室の人物画以外にも激動の時代を生きた画家だけあって、「マドリード、1808年5月3日」など当時のナポレオン軍が進行したスペインの惨状を物語るような絵画を残しています。
この映画の冒頭で修道士達がゴヤの絵(版画?)を見て討論するシーンがあるのですが、その人間の黒い部分をナマナマしく描き出している絵に拒否反応を起こす修道士もいるのですが、綺麗な部分だけじゃない人間のダークサイドを描いた画家でもあります。
あらすじ
1792年マドリッド。ゴヤ(ステラン・スカルスガルド)は修道士ロレンゾ(ハビエル・バルデム)の依頼を受け、彼の肖像画を描いています。ゴヤのアトリエを訪れたロレンゾはそこにある美しい少女イネス(ナタリー・ポートマン)の肖像画に目を留めます。イネスは富裕な商人トマス・ビルバトゥアの娘で、ゴヤは彼女を自分のミューズとして作品を数点仕上げています。
ロレンゾは異教徒を探し出しては異端審問に掛けていたのですが、ある晩ロレンゾの部下が大衆食堂でイネスを見かけ、豚肉を食べていなかった事から「ユダヤ教徒だ」と疑いをかけます。イネスは教会に捕えられ、拷問にかけられてしまい、異教徒であると嘘を白状してしまい、投獄されてしまいます。
父親のトマス・ビルバトゥアは娘を心配し、ロレンゾと関わりのあるゴヤにどうにか彼とコンタクトを取れる様にと懇願し、自宅の晩餐会にロレンゾとゴヤを招く事に成功します。。。
修道士ロレンゾのクソっぷりが凄いです。ゴヤの絵の才能を見極めるだけの目はあったのですが、人間的にどうよ?と思えるような行動を何度も取ります。ハビエル・バルデムのあのうさん臭さのある出で立ちと濃厚な演技がマッチして、映画の中ではゴヤよりも目が離せない人物です。もう、あの喋り方にちょっと身震いをしてしまうくらい、何とも魅力的なクソっぷりを披露してくれます。
そしてナタリー・ポートマンが凄いです。綺麗なお嬢様から、投獄生活で精神がボロボロになった女、娼婦、全て説得力のある体当たり演技を見せています。あんな綺麗な子が顔も歪んでボロボロになって登場し、そこに羞恥心とか無いのがプロを感じさせます。
もちろん、ゴヤの絵画の数々や作業風景なども登場するので、アートが好きな方も、そうでない方にもおすすめの映画です。
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