2011年04月10日

アナとオットー Los Amantes del Círculo Polar


スペイン語版

アナとオットー」(Los Amantes del Círculo Polar)は1998年のスペイン映画。原題は「北極圏の恋人達」という意味だそうです。

運命的な恋愛を描いた映画。両親同士が再婚して兄と妹の関係になる、というまるで少女マンガにあるようなドラマチックな設定ですが、とても微妙な家族や運命の人との関係を主人公のアナとオットーの目線で分けて描いた作品です。

あらすじ
父親を無くしたアナと、両親が離婚したオットーがある日学校の側で出会います。今まで見た事の無かった少女をオットーは追いかけるのですが、父親を亡くしたばかりのアナは父親と似ても似つかないオットーに父親の面影を投影します。

オットーの父親が雨の日にアナとその母親を家まで送った時から、オットーの父親とアナの母親は仲良くなって行き、二人は再婚します。母親に引き取られているオットーは、父親の迎えにくる車の中でのみアナと会えます。二人は成長し思春期を迎え、そんなある日アナの母親が二人を迎えに来た時に車で事故り、バスで通う事になってしまいます。

アナにもっと会いたいオットーは、自分の荷物をまとめて父親の家に転がり込みます。学校の帰りに母親の家に寄る事を条件に、オットーも一緒に父親家族の元で住む事になります。「恋がしたい」と恋に憧れるアナも、オットーが自分を選んでこの家に転がり込んで来た事を理解していて、二人はやがて体を重ね合わせる中になります。そんなある日、学校から母親の家に帰ったオットーは母親の死体を見つけます。。。

子供の時に出会い、恋に落ちた運命の相手。お互いにたった一人の運命の人と確信しながらも、離ればなれになってしまう。偶然や運命といったものを題材にした恋愛映画です。アメリカや日本の恋愛映画のようなドラマチックに盛り上げて涙を誘う作品ではないのですが、二人の繊細な心の揺れや擦れ違い、近くにいるのにニアミスしたり、お互いが離れていても呼び合うようなシーンに見ている側はハラハラさせられます。

映画の二人が距離的にかなり離れていて、お互いが見えないのに擦れ違う時に惹きあったりするシーンが出てきます。こういう感覚って、恋愛をしている時に実際に相手もそうじゃないか?と妄想する事がある人は割といるんじゃないかと思いますが、物理的に離れている二人が同じ感覚を共有する瞬間ってこんな感じ??どこかで繋がっているっていう感覚にロマンスがありますね。

この映画の家族関係の描かれ方を観ていて、スペインでの親と子供の関係は日本よりもっと自立した関係なんだろうか?と考えさせられてしまいました。親の離婚や再婚を、自分が巻き込まれるものというよりかなり冷めたというか独立した目線で捉えています。そこに反対や賛成の感情を表す事無く、すんなり流れて行くアナとオットーが印象的です。大人には大人の事情が、そして子供達にも自分達の事情があります。

おじいさんが助けたパイロットのドイツ兵から名前を取ったというオットーのエピソード、そして実際に自分もパイロットになるオットーが後半のストーリーの流れを進めて行き、舞台も北極圏に移ります。二人が一緒に住んでいた頃に、アナがオットーに読んで聞かせた北極圏についての話を二人は覚えている訳ですが、北極圏に関わった人達や仕事などとも運命的に繋がって行きます。フリオ・メデム監督の母親はバスク人で父親がドイツ人なんだそうですが、運命的な出会いとそのエピソードは自分の家族環境に影響されているのでしょうか。

逆さから読んでも同じANA(アナ)とOTTO(オットー)という二人を主人公にしているだけあって、映画の最初と最後のつながりなども趣向を凝らした作りです。二人の目線から描かれる同じシーンは微妙に違っていて、他人の目から見たその時の状況を再現している部分があります。(ちょっと羅生門のようですね。)

フランスやアメリカの恋愛映画とまたちょっと違う、ちょっと新鮮に感じたスペインの恋愛映画です。

アナとオットー [DVD] / フェレ・マルティネス, ナイワ・ニムリ, サラ・バリエンテ (出演); フリオ・メデム (監督)

posted by 淀川あふるー at 17:26 | Comment(0) | TrackBack(0) | 恋愛 映画 | このブログの読者になる | 更新情報をチェックする
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