食べて、祈って、恋をして Eat Pray Love

「食べて、祈って、恋をして」（Eat Pray Love）は2010年のアメリカ映画。エリザベス・ギルバート作「Eat Pray Love」が原作。

2006年に発売された原作が大ヒットし、「オプラ」のトークショウにエリザベス・ギルバートが出演していたのですが、「面白そうかも？」と本を買って途中まで読んで投げ出してしまった事があるのですが、取合えず映画版「食べて、祈って、恋をして」がテレビで放映されていたので鑑賞してみました。

原作と微妙に違う設定もあるのですが、残念ながら映画のがっくり感も同じ。。。ある層にはウケる設定だと思うのですが、描き込みが「スピリチュアル」を扱うにはまるでインスタント食品でも食べているような出来合い感が拭えない仕上がりになってしまっています。映画の中に出て来るイタリア料理はとっても美味しそうなのですが。

あらすじ
32歳のエリザベス・ギルバート（ジュリア・ロバーツ）は都会に暮らし、家を持ち、ライター業も順調で夫とも8年間結婚生活を続けているのですが、ある日自分の結婚生活が嫌になり、「離婚したい」と夫に切り出します。自分たちの結婚生活が巧く行っていると思っていた夫は猛反撃をして離婚を嫌がります。

自分の描いた作品を演じていたデイビッドと仲良くなり、彼のアパートに移り住み、彼の信仰するグルの集いにも参加します。夫は家を含めた全ての財産を渡す事で離婚に合意します。

家もお金も失ったエリザベスはイタリア、インド、バリに自分探しの旅に出かけます。。。

まず、残念ながらジュリア・ロバーツ向きの作品ではないところでコケています。スピリチュアルとか、かけ離れていそうな女優さんですよね。。。そして映画の中に登場する女性に何度も何度も「夫は？彼氏は？結婚してないのか？」と主人公のリズは責め立てられて「うんざりだ！」とか言ってるのですが、そういう締め方しちゃうんだ、という何ともお粗末な終わり方をします。

確かに理想とする結婚生活に縛られて、幸せなカップルが住むような家を買い、お互いの関係もその頭の中の理想に基づいたもので、気づいたら死ぬ程息が詰まるような結婚生活になっていた、って言うのは分かります。ちょっと幸せな悩みと言えそうですが、真綿で徐々に首を絞められているようなもんですね。

現在持っている安泰した暮らしを捨てるまでの動機とか、何を見つけたかったのかとか、大げさに言っている割には描かれ方があっさりしすぎでイマイチ彼女の行動に意義を見つけるのが難しく、しかも女はやっぱり恋愛！という展開を前面に出した終わり方にこの映画を観た女性陣は肩すかしを食らう事になります。でも、映画のタイトルには忠実ですよね。本当に「食べて、祈って、恋をして」な映画です。食べる事と恋をするという快楽の部分が、祈るというスピリチュアルな行為よりも圧倒的な比重を置いて描かれていますが。

はっきり言ってしまうとただ結婚生活が嫌になったから離婚した事に、取合えずスピリチュアルな探求をこじつけた感しか見えてこなくて本よりも更に残念な感じになっています。（といっても本は最後まで読んでないですが）「そうだよね、ドロドロの離婚したんだから、ちょっと旅行でもして息抜きしたほうがいいよね」でも良かったのでは？と思えてしまいます。同じドロドロ離婚＆海外逃避行でも「トスカーナの休日」の方が現実味があって良かったです。

男性依存が強い女性はスピリチュアルなトレーニングをしても同じサイクルに戻る、とでも言いたいんでしょうか。。。「グル」や男性や占い師とかそういう人達の言葉に流されやすく、影響されやすい登場人物の行動は、最後まで変わりません。これが20代前半の女性という設定だったらそれでも良かったのでしょうが、30代の女性を扱うからにはもう少し芯のある女性に描かれても良かったと思います。（しかもジュリア・ロバーツだってもう40代なんだし）

残念。